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俺はジトロ(2)

前が短かったので、投稿させて頂きました

 魔力の鍛錬や、空手の動きの確認をして過ごしている俺。


 そんな日常を過ごしているが、ある日母さんが少々大きな怪我をして父さんに抱えられるように返ってきた。

 最悪の状況が頭をよぎり一瞬で血の気が引くが、息はしているようで少しだけ安心する事が出来た。


「どうしたの、母さん大丈夫??」

「ああ、大丈夫だ。だが、少しゆっくりさせてやろう」


 父さんは、慌てて俺が敷いた布団に母さんを寝かした。


 父さん曰く、いつもの狩場で獲物を狩ろうとしていたのだが突然見た事も無い魔獣が現れたので、万が一を考えて避難する事にした所、素早い動きで攻撃を仕掛けてきたために魔力レベルの低い母さんが怪我を負ってしまったらしい。


 父さんは全力で魔法を放ち、その後に身体能力に魔力を全振りして母さんを抱えて離脱したとの事だ。


 流石は父さん。素晴らしい判断だと思う。

 見た事もない魔獣であるが故に、高額で取引される可能性が高い。


 しかし、欲に目が眩む事なく冷静に判断していたおかげで、母さんは重症ではあるが、命の危険はない状態で帰還できている。

 もし少しでも欲が出てしまっていたら、離脱の判断が少しでも遅れていたら、場合によっては母さんだけではなく父さんの命の危険もあったはずだ。


 もちろんこの件については、冒険者ギルドと言う冒険者の組合のような所に報告に行くらしく、母さんを寝かしつけると即出て行ってしまった。

 他の冒険者仲間が、同じような危険に晒されないようにするための処置だ。


 こう言った行動は、冒険者としての義務らしい。


 俺は母さんの近くで様子を確認する。

 肩から肘の辺りの怪我が疼くらしく、熱も高い。

 そのせいか少々息も荒く、苦しそうだ。


 俺は、迷う事なく溢れんばかりの魔力の一部を利用して、回復を行う事にした。

 母さんが苦しみから解放される事と、俺の秘密がばれる事。天秤にかける必要もなく、母さんの回復を取る。


 かなり魔力の扱いが上手くなっている俺は、母さんに回復の魔法を使って完全に癒す事に成功した。

 荒かった呼吸も落ちつき、肩の傷も跡形もなくなっている。


 その後父さんが帰ってきた音で母さんが目を覚ますと、二人共仰天していた。

 何故あの大怪我がなかった事になっているのか、についてだ。


 俺は、正直に自分が癒した事を伝えた。


「そうだったのね。ありがとうジトロ。あなたはとっても優しいのね。嬉しいわ」

「本当だ。お前は俺達の宝だ。だがジトロ、その力はあまり人前で使わない方が良いな。あれ程の怪我をこれだけ短い時間で治せる力となると、魔力レベルは最大の10に近いんじゃないか?」


 父さんは、この力に必要な魔力レベルはこの世界最大と認識している10に近い物であると判断したようだ。

 実際にいくつのレベルの魔力が必要なのかは、残念ながら俺にはわからない。

 でも、長らく冒険者を続けている父さんの言う事なら間違いないのだろう。


 それに、俺の魔力レベルは無限大。数値で説明できない。

 言い淀んでいると、


「いや、具体的な数値は言わなくて良い。これからも、万が一誰かに聞かれたとしても安易に教えてはだめだぞ。自分の弱点をさらけ出す事にもなるからな」


 父さんと母さんは、俺には自分の魔力レベルを教えてくれていたのに……とは言わない。


 こうして母さんの大怪我は問題なかった。

 その後、父さんの連絡を受けたギルドから討伐隊が向かい魔獣が討伐されたと報告を受けたのだが、少なくない犠牲が出てしまったらしい。


 流石はこの辺りで英雄と呼ばれている父さんだ。

 瞬時に最適な行動を取れる冒険者は中々いない……と思う。


 だけど、犠牲になってしまった人々は残念だ。

 ある程度の高ランク冒険者で構成された討伐隊だったようなのだが、魔獣が強すぎたのだ。


 しかし、尊い犠牲もあって魔獣は討伐されたので、この辺り一帯の緊急事態は解除されて日常を取り戻した。


現実世界の緊急事態は、どのようになるのか心配です

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