表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/172

温泉・露天風呂完成

 ナバロンさん達の熱意に負けて、なんとギルド出勤当日から露天風呂の建設に係わる仕事を始める事になった俺。


 この仕事自体に不満はないが、残念ながらここでは情報収集が一切できない。


 ギルドにいればいやでも入ってくる情報も、ここでの情報と言ったらどの方向の景色が良いとか、高低差をつけるにはこの位が良いとか、当たり前だが露天風呂の事ばかりだ。


 一応俺としては、このバイチ帝国の主要人物が組織バリッジから命を狙われた実績があるので、バリッジの手先だった元クソギルドマスターのいたハンネル王国と、ここ、バイチ帝国についての警戒度を上げている。


 そんな状況で、俺は毎日露天風呂の建設に従事しているのだが、ただ黙って作業をする訳には行かない。


 この状況を利用して、アンノウンのメンバーをこの町に根付かせる事にした。


「ナバロンさん。実は、スミルカの町で勤務している時に知り合った有能な人材がいるのですが、俺の補佐として、この帝都のギルドに入れる訳には来ませんか?」


 一応ギルドは国家に所属はしていない。しかし、上層部から人材を推薦と言う名の強制的に採用させられるケースはままあり、コレを狙ったのだ。


 更には、


「実は、俺の親戚の子供の配偶者の知り合い、安全な場所での職を探しているのです。食事を作るのが好きなので、どこか良い働き口は無いでしょうか?」


 どんな繋がりだよ!!と言うような形にしておけば追跡される事もないと思い使ってみたが、後から考えると最初から遠い知人と言っておけば良かった……と思わなくもない。


 だが、このバイチ帝国の風土か、個人の性格かはわからないが、俺の遠い知り合いと言う名の怪し過ぎる人材についても、快く就職口を見つけてくれたのだ。


 こうして、我らアンノウンの魔力レベル0の部隊、アンノウンゼロと命名した彼らの配置も完了した。


 残念ながら温泉の建設に関してはかなり時間が必要になるので、未だ俺はギルドに出勤していない。


 時折念話を通して、バイチ帝国のギルドに努めているアンノウンゼロの一人であるランスから連絡が来るが、どれも問題となるような報告ではなかった。


 夕方になると、その他の面々、バイチ帝国やハンネル王国の王都、ハンネル王国のスミルカの町に入り込んでいるアンノウンゼロ達からの報告が一斉に入る。


 こうなると俺の頭では処理しきれないので、拠点に帰還して全員が揃っている時に拠点の管理を任せているアンノウンゼロのリーダである守銭奴……間違い、金庫番でもあるイズンに相談し、全ての情報を取りまとめた上で、必要な情報だけを俺、状況に応じてナンバーズにも連絡するようにお願いしておいた。


 こうして、心置きなく?建設作業員、兼現場監督として仕事をする副ギルドマスター補佐心得の俺。


 何故か騎士隊長であるナバロンさんも毎日来て、泥まみれで仕事をしているから、そういう風土なのだろうと理解した。


 この人、暇なのだろうか?と思わない事もなかったが……


 この仕事に従事する事二か月!!ついに露天風呂のある温泉施設が日の目を見る日がやってきました。


 正直、共に作業をしている人達があまりにも良い人過ぎて、いつの間にか自分がギルドの職員である事を忘れてこっちが本職のようになってしまっていた。


 毎日毎日、作業中でもあーでもない、こーでもないと、みんなと考えながら作業するのが楽しくて仕方がなかったのだ。


 今なら、騎士隊長のナバロンさんが毎日のようにここで作業をしていた理由がわかる気がする。暇とか思ってしまってゴメン。


 そして開店した温泉施設に、一日目は王城勤務の者達へのお披露目、そして二日目は高ランク冒険者、公共の施設、所謂ギルドや商店に勤務している一般市民へのお披露目となったのだが、その二日目に、バイチ帝国で仕事をしているアンノウンゼロの面々全員が来ていた。


 そうだよね。俺もそうだけど、君達も俺の影響を受けて露天風呂、好きだもんね。


 一応俺は建設側の人間なので、今回は入口付近で立っているだけ。


 それを横目に、少しだけ申し訳なさそうな顔をしながらも、足取り軽く露天部度に向かうアンノウンゼロの面々。


 しかも!!

 ナンバーズの一部も、ニコニコしながらやってきた。


 くっそ、たしかに君達高ランク冒険者だよ。でも、少し悔しい。

 

 その後の一週間は地域を区切り一般住民達に順番に無料で公開するようだが、一般公開終了後はやはり建設費用の回収もあって、一人当たり銅貨一枚(千円)徴収するようだ。


 だが、実際に使った費用から考えると、かなり良心的な金額設定と言える。


 一般市民には気軽に利用するには高い金額なのは否定できないが、あまり安価にして入場規制が必要になるのも困るので、この金額にしたそうだ。


 色々考えているな。


 こうして、バイチ帝国の帝都の露天風呂関連の依頼は、無事に達成する事ができた。


 結構長い間ここで働いていたので、少し休みが貰えるらしい。

 その後は、ようやくバイチ帝国のギルドに出勤だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ