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転移があるので、問題なし!

「おはようございます。スミルカのギルドから異動になりましたジトロです。宜しくお願いします!」


 いつもと同じような時間に転移し、バイチ帝国の人気の無い位置から徒歩で帝都のギルドに向かい、到着して即大きな声でご挨拶!!アンノウンのメンバーにも言っているが、挨拶は大切!


「お、待っていたぞ!ジトロ殿。慣れるまでは大変かもしれないが、よろしく頼む。それと早速だが、宰相からギルドへの直接の依頼で、温泉施設の作成を行うので、ジトロ殿に監督をしてもらいたい」


 俺の声にいの一番に反応したのは、冒険者ギルドの面々ではなく、騎士隊長のナバロンさんだった。


 しかも、慣れるまでは大変と言いつついきなりギルド外の仕事を持ってきているので、かなりの矛盾があるのだが、余程温泉、いや、露天風呂が気に入ったのだろう。


「ナバロンさん、お久しぶりです。アゾナさんもお元気ですか?」

「ああ、ジトロ殿に逢えるのを楽しみにしていたのだが、都合がつかずに今日は来られない。残念がっていたが、今後ともよろしくと伝言を頼まれている」


 二人共元気そうで何よりだ。最後にこの二人とスミルカの町で別れた時に様で呼ぶのは控えて欲しいと懇願されたので、今は少しだけ崩した話し方をさせて貰っている。


 万が一、こちらに新種の魔獣が襲撃していないか心配になっていた時もあったが、既に、魔力レベル0のメンバーもバイチ帝国に根を張り始めているので、ある程度は安心だ。


「えっと、温泉施設の建設、いつから始めるんですか?」

「それはもちろん、今からだ!!ハハハハハ、せっかくジトロ殿が来てくれたのだ。一刻も早く、あのスミルカの町のような風呂に入りたいと思うのは仕方がない事だろう??」


 俺、今日がこのギルドの初出勤なんだけどな。


「えっと、ナバロンさん、せめてギルドマスターと同僚達には挨拶をさせて頂きたいのですが」

「おっと、そりゃそうでした。ついうっかりしていたな。いや、申し訳ない」


 少しソワソワしているナバロンさん。よっぽど温泉を早く作りたいのだな。


「ありがとうございます。ギルドマスターはその依頼の事、知っているんですよね?」

「それはもちろん!!」


 風呂に関する情熱が凄まじいな。


「では、少しだけ待っていてください」


 こういって、ナバロンさんの横を通り過ぎてカウンターに向かう。


 そこにはある程度の数の冒険者が受付をしていたのだが、ナバロンさんの大声によって、受付や冒険者全員が俺の方を見ている。


 これは丁度良い。


「皆さん!本日を持ちまして、このバイチ帝国の帝都のギルドに配属されましたジトロです。今お聞きの通りに皆さんと一緒に仕事をするのはもう少し後になりそうですが、宜しくお願いします!」


…パチパチパチ…


 拍手で迎えてくれた冒険者達。ここは、以前ナンバーズに聞いていた通り、素晴らしい国なのだろう。

 道中奴隷は一切いなかったし、冒険者や受付も、厳しくも楽しく活動しているように見える。


 やがて、カウンターの奥からギルドマスターと思しき人が現れた。


「やあ、貴方がジトロ副ギルドマスター補佐心得ですね。お待ちしていました。私は、この帝都のギルドマスターを務めていますグラムロイスです。既に宰相からの指名依頼が来ている事も把握していますので、暫くはそちらを優先してください。では、今後ともよろしくお願いします」

「こちらこそ、よろしくお願いします」


「ジトロ殿、このグラムロイスは俺と宰相と長い付き合いでな、多少の無理は聞いてくれるので、遠慮なく言うようにしてくれ」

「そうなのですか?わかりました。ありがとうございます、ナバロンさん」


 とは言っても、ここで無理を言いだす事などできないけどね。

 できる事なら役職の心得を取って欲しいのだけど、きっと無理だし……


「じゃあ、顔見せも終わったから、早速行きましょうか」


 こうして初出勤から、何故か暫くはギルドを不在にすると言う、前代未聞のスタートを切った。

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