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転生の選択

今日2話目です

 今までの事を走馬灯にの様に思い出していた俺。


 何で崖下に転落した俺が、何故それほど詳しく状況を思い出せているのかと言うと……今俺は、目の前に光り輝く人型の前にいるからだ。


 俺自身も何を言っているかわからないが、事実だけを伝えるとこうなる。


 父さん母さんやハチを探すが、ここには俺一人と光り輝く人型しかいない。


 だけど、不思議と不安や恐怖を感じる事は無かった。


 あの状況であれば、残念だけど明らかに俺も含めて全員助かっていないはずだけど、何故ここまで落ち着いていられるのかが自分でも不思議だ。


 長らく生活して病院での経験が活きているのだろうか?

 と、その時、ようやく光り輝く人型が話かけてくれた。


「初めまして、正義さん。私は輪廻転生を司る神です」


 やっぱり俺は死んだのだな。だが、入院時に読んでいた漫画の知識があるのか?すんなりと受け入れる事が出来ている。


「あなたの生涯は、想定されていたものよりも悪い方向に振れてしまっていました。その為、救済措置を行う事が決定されたのです」


 この神の言っている事は理解できるが、気になる事を始めに聞いておこうと決心した。


「あの、すみません。おとう・・僕の両親とハチはどうなったのでしょうか?」

「……残念ながら、既に輪廻転生の輪に入っております。来世も地球で穏やかに過ごせる事は決まっていますよ」


 やっぱり死んでしまったのだな。でも、来世の話を聞いてホッとした。


 あんなに必死になって俺を育ててくれた両親、そして、本当に癒しとなってくれたハチ。


 消滅したと聞かされていたら、俺は立ち直る事が出来なかっただろうからな。


「それで、正義さんですが二つの選択肢が提示されます。一つ目は、皆さんと同じように地球で再度過ごす事ですが、こちらは世界の均衡を保つために全ての記憶は消去されます」

「えっと、両親やハチも記憶がない状態で産まれてくると言う事ですか?もしどこかで出会っても、いや、そもそも僕は両親の子供として生まれる事ができるのでしょうか?」 


「残念ですが、全ての記憶がないと言う事は全く新しい人生を過ごすと言う事です。そもそも日本で産まれるかすら今の所確定していませんので、全く違う他人として生活する事になるでしょう」


 それはそうだな。何故かスッと説明が心に入ってきてしまった。


 だけど、どの国で産まれようが、両親やハチは穏やかに過ごせるとの事だから安心だ。ありがとう。


「そしてもう一つの選択肢ですが、地球以外の世界。あなたも良くご存じの魔力が存在する世界に転生する事です。こちらは世界が異なりますので、記憶は持ったままで転生する事ができます」


 キターーーーーーしゃ~~!!!


 あの退屈な病棟のベッドの上で唯一の希望を与えてくれた、あの漫画の中の存在である異世界。


 魔力!!そう、俺が必死で修行??をして得ようとしていた物が存在する世界。


 父さんと母さん、そしてハチと共に再び生活できるのならば、地球での生活一択だったが、その夢はかなう事がない。


 唯一の不安だった家族の来世は安泰と聞いている以上、俺の選択肢は異世界しかない。


 万が一地球での生活を選択して家族の誰かと再び会ったとしても、お互い赤の他人で初対面。すれ違うだけかもしれない。


 とすると、地球での生活にメリットは無いのだ。


 しかし、確認しておきたい事が一つある。


「あの、すみません。異世界に行ったとして……また入院とかって言う事は無いですよね?」

「ええ、健全な体での転生になりますよ。ですが、生まれはランダムになりますので、働かなくても裕福な暮らしができる家かどうかはわかりません」


 それはそうだな。別に俺としても貴族や王族になりたいとは思っていない。

 また無駄に妬まれたりするのは嫌だから。


「えっと、それじゃあ異世界で良いでしょうか?」

「その選択をされると思っていました。では、少し転生先の説明をさせて頂きます。もちろん魔力が存在し、本来は最大で魔力レベル99を上限として得る事ができるのですが、人族は鍛錬する事を怠っているようで今の時点で一般的に認識されている最大魔力レベルは10です」


 最大レベルが存在して、魔力がある。まさにあの漫画と酷似している。これは期待ができるのではないだろうか?


「魔力レベルが10であれば、あの世界では大英雄として認識されています。情けない事ですが……当然生まれついてのレベル、そしてその後の鍛錬やアイテムなどでレベルを上げる事はできるのですが、それでも魔力レベル10が最大なのです」


 成程ね。でも、異世界と言えば魔獣でしょ?きっと魔力レベル10でも余裕で対処できる魔獣しかいないに違いない。


「いいえ。当然レベル10程度では太刀打ちできない魔獣はおりますが、人族の生活圏から遠く離れた場所にいるか、ダンジョンの奥深くにのみ存在するために、戦闘になっていないだけですよ」


 自然に心を読んできたが、これも想定の内だ。


 だが、ここで聞き逃してはいけない言葉がサラっと出てきた。そう、ダンジョン。フフフ、アレだよ、アレ。


 洞窟っぽい所に入っていき、魔獣を討伐しながら階下に進むアレ。途中でレアドロップとか不思議なアイテムが出てくるアレ。


「そして、生まれながら魔力レベルが0である者達もおります。こうなってしまうと、いくらアイテムや鍛錬を駆使してもレベルを上げる事はできません」


 おいおい、万が一魔力レベルがゼロになった時の事を想定して、恐怖で震えてしまった。


 何とかならないのだろうか?


「もちろん正義さんには救済措置がありますよ。現在認識されている最大レベル10以内であれば、好きな数値で魔力レベルを与える事が出来ます。もう一つの選択肢としては、本当にランダムになる方法です。この場合は当然0の可能性もあり得ますが、99の可能性もあります。如何しますか?」

「えっと、10以内で選択させて頂きます」


 俺は悩んだ。正直に言うと10以上のレベルが欲しい所だが、ゼロになってしまう可能性がある選択を取る訳にはいかない。


 きっとこの場の記憶も残るのだろうから、欲をかいた結果魔力レベルがゼロになってしまったら、激しい後悔を一生抱えながら生活する事になりかねない。


 そんなのはゴメンだ。


 そうすると、何の数値を選択するか……

 通常なら10一択。


 でも、俺は異世界で生活を始めるにあたって、地球での家族との繋がりを少しでも感じていたかった。


 全てが初めての環境。魔獣もいれば魔法もある憧れの環境ではあるが、現実は易しくはないだろう。


 万が一、本当に万が一心が折れそうになった時に、家族との繋がりを思い出したいのだ。


 そうすると……ハチ。8か。


 大英雄という程ではなく、しかし、そこそこ魔力は高い。

 更には、向こうの生活に慣れた頃には魔力を上げる事もできる。


 よし!頼むぞ、ハチ!!俺をしっかりと支えてくれよ。


「決まりました。8でお願いします」

「フフフ、家族の絆を考えての選択。好ましいですね。わかりました。それでは正義さんの来世に幸あらん事を願って……魔力レベルを与えたら即転生になります。お幸せに」


 人型の光から、指のような物が俺の額に近づいてきた。

 感謝の気持ちを込めて、大声でお礼を伝える。


「神様。ありがとうございました!!」


 少し指がビクッとしたように見えたが、そのまま俺は深く頭を下げた。


 すると、神様の慌てた声を最後に俺の意識は途絶えたのだ。


「あ~、まさかこんなに礼儀正しいなんて……驚いて与えるレベルの数値を回転させて付与してしまったわ。どうしましょう。でも……大丈夫よね。付与がはじかれた形跡もないし」


 少々不安要素は残ったが、意識が飛ぶ直前に聞こえた声なので質問する事も、やり直すこともできずに意識を手放した。

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