バイチ帝国(8)南門のNo.7(ジーベン)
イニアスとオウカは、撤退を始めている連合軍にも一撃加えようとする。
ふざけた魔道具を使っていた事に対する罰として……だ。
だが、改めて魔術を発動しようとした所、アンノウンゼロに付き従っている魔獣の意識が途絶え、自らの意識もなくなる。
リミッターを外した結果、二人と魔獣、共に限界が来たのだ。
当然防壁内部から監視しているアンノウンゼロの一人であるレントンが、二人が倒れ切る前に助け、防壁内部に移動させている。
残るは悪魔二体とNo.7。
No.7の攻撃は、一撃で粉砕するような攻撃ではないが、的確に大きなダメージを与えている。
逆に悪魔の攻撃は、何をどうしても当たらない。
解析・鑑定、それぞれの術を全力で駆使する事で、容易く敵の攻撃を避け、敵に攻撃を当てている。
一撃の攻撃があまり大きくないのは、その後の隙が発生する事を防ぐためなのだが、その一撃は的確に悪魔の急所を突いており、更には修復し辛いように内部破壊をしている。
ある程度抑えた力であっても、どこにどのように攻撃すれば良いのか、No.7には手に取るようにわかるのだ。
その結果、悪魔の動きは徐々に遅くなる。
修復が追い付かず、関節にも攻撃を受けているので流れるような動きができなくなっているのだ。
やがて動きが完全に止まった状態になる悪魔。
流石にこの状態であれば、連合軍でも戦況は把握できる。
明らかに視認できるからだ。
動く事が出来なくなっている悪魔二体に対して、平然と悪魔に近づくアンノウンのNo.7。
南門の連合軍は、目の前で行われた異常な戦闘、そして明らかに悪魔とバリッジが負けていると言う事実を見ると、完全に戦意を喪失して逃走する。
だが、他の門と違ってこの場にいた連合軍は、アンノウンの正体を視認してしまっている。
その程度は分かっているイズンは、今後の活動の障害になる可能性を排除するために非情になりきる。
拠点から派遣されたアンノウンゼロと一部のナンバーズに指令を出し、結果、南門にいた連合軍の全員が、アンノウン所有のあのダンジョン深層に放置される事が決定した。
その決定を聞くと同時に、No.7は既に動けない悪魔二体に止めを刺して意識を失う。
もちろん、その後の完全な悪魔二体の焼却、No.7の保護はアンノウンの他の者達によって達成されている。
南門も、アンノウンの完全勝利、そして連合軍は全滅……いや、全員行方不明という結果となった。




