げんそう (幻を想う)
不思議な…
この感覚は…
何だろう?
物語を読んだり、観たりして
そして
友人や同志
物語を書く戦友たちと
いろんな話をしながら
わたしの胸のうちがざわめく
自らの中に
子どもたちが生まれてゆく
そんな不思議な感覚を覚える
生まれてきた世界や
そこで生きるひとたちが
泣いて
笑って
怒ったり
喜んだり
頭のなかの世界で
人とケンカをしたり
ケンカの相手と仲直りをしたり
悲しみ
争いに身を委ね
慈しみ
お互いに助けあい
人を傷つけ
人を愛し
そして
そこから去ってゆく
まぼろしのひとや
まぼろしの
わたしの子どもたち
ゆめの世界と
まぼろしの人々
全てが幻想…
夢幻の
想像の中だけの世界
そこに暮らす
幻想のなかの
わたしの心のなかの住人たち
みんな、
みんな…
現実の世界から
わたしがいなくなれば
わたしの中の
この世界も
わたしの心で息づいていた人たちも
わたしの子どもたち
わたしが愛したものも
掻き消すように無くなる
わたしの心から孵ったものは
一切が無に還る
だから…
だから書くのかもしれない
わたしがなにかを残すことではなく
あの子たちを生かすために
そうやって書くのかもしれない
わたしは
そうして
書き続けてゆくのかもしれない
現実でない
幻想の世界のお話を
そうして
それを現実とするために
物語を追いかける
幻を想う