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モブ派遣のミシェルの場合 後半

カメですが、お付き合い下さい。

 こんにちは。モブ派遣のミシェルです。私の愚痴に付き合って下さい。

 

 本当にレイモンド君は詐欺師だわ~。男なのにサラサラヘアーで、しみ一つない顔に大きな瞳。

鍛えてあるから貧相に見えないスリムボディに日焼け知らずの白い肌。

私と一緒に歩いてるのに、彼が村の男に口説かれてるし、服だってズボンを履いているのに男だと誰も思われないなんて・・・。

(男性相手に嫉妬で、血の涙を流すことになるなんて思わなかったわ・・・。ハンカチを何枚だめにしたか・・・。キィーッ!!)

 身長も175はあるし、身体も無駄なく鍛えててホント美丈夫なんだけど、なんでかね・・・、艶かしい感がある。どこから出てるんだろあの色気・・・。




 今日も市場で野菜の売り子をしている私は、他の奥様方と雑談というなの井戸端会議をしている。仕事です!仕事!!!

けして無駄話ではない!断じてない!!主婦の情報交換の場は、とっても大切です!肌のお手入れとか、おすすめのハンドクリームとか○○の店のだれそれが、かっこいいとか、○○が結婚しそうとか大切な情報源です!


しかし毎回、毎回、話題に上るのは、


「あんたんとこの旦那さんなんか化粧品使ってるのかい?」とか


「何を食べたら、あんなきれいな肌になるんだい?」


と聞かれることです。苦痛だわぁ・・・。


「皆さんと同じものですよ~。身体も牛乳石鹸で全身洗ってるだけらしいですしぃ~」


ほんとに毎回同じ回答しか出来ナインデスワタシモ・・・。

それ以外にないの?って本人に聞いても「さぁ~?」としか言われないから・・・。

私も不思議だわ~。ホント肌質交換して欲しいっっ!!


 




 さてさて、話は変わって、私とレイモンド君が派遣されている物語は、シリーズ発行部数の累計が億を越す、超人気ゲームの小説版。こうゆう説明は、とっても苦手なんだけど、掻い摘んでざっくりしたあらすじを言うと、

 国王様の一人娘が、成人式のパーティー前夜に魔王に攫われたところから物語は、スタート。国王様は、国中のありとあらゆる権力者・実力者に娘の奪還を頼むが、みな首を縦には振らない。悩んだ末、国王は、一人の若者に娘の奪還を頼んだ。

 彼は、伝説の勇者の子孫。伝説の勇者の子孫というだけで、白羽の矢がたったのだ。彼自身は、優れた身体能力を持ち合わせている訳ではない。どこにでもいる平凡な若者。

しかし、彼には類まれなコミュニケーション能力があり、それを駆使して、名のある軍人や神官以外にも、獣人や龍族・ドワーフやエルフなど様々な種族を仲間にしていき、力を合わせて姫の奪還を目指して旅をするという話。


 この物語は、ツッコミどころ満載だけど、スチールがきれいとか、キャラがイケメ~ン!とか、剣と魔法もあるけど、地味に泥臭い人間模様や勇者と仲間達の熱い友情がサイコー!!とか、旅をしながらモンスターを倒す!といった王道ファンタジーが広い世代に受けて爆発的ヒットとなりスピンオフまで出ている。(親子三世代とか幅広すぎっ!)


 今回は、そのスピンオフの一つ。勇者の仲間の一人、神官様の若かりし頃の苦難や努力を描いた話。これが泣けるっっ!!!!泣きすぎて目が痛いよ~っ!!

 

 幼少期に彼の身に起きた事件をきっかけにして、治癒を得意とする神官を目指す。

もともと治癒魔法の特性の無い彼は、人一倍努力をし、少しずつ成長していく。

 そんな彼は、差別なく人々を治療していく。多くの人々から慕われるようになったのだが、そのことが気に入らない他の神官たちに貶められ、辺境の地に飛ばされる。

 誰からも忘れ去られて数年は、その辺境の地で過ごすことになったのだが、彼は前向きに考え、辺境の地に多くの知識を根付かせた。

 誰もが彼を忘れかけた頃に王都より召喚されるが、それからもまた紆余曲折ある。やっとこさ勇者一行と出会って、一緒に旅に出るのだけれども、その紆余曲折は、涙無しでは語れない話となっている。黒子派遣の時にシナリオを渡されるので確認したら、レイモンドと一緒に号泣してしまった。

(ジェットコースターのような人生とは彼のことを言うんだな~)

 

 今の彼の仕事は、けが人の治療や子ども達に勉強を教えること。

神殿の布教担当は別にいるので、彼は村人と交流を第一に考えて行動している。

 この村では、事件らしい事件は、起きない。

しかし彼にとっては、王都から派遣され、はじめて王都以外の場所を見聞きし、過ごす場所。

 王都では、当たり前にあったものは、辺境の村では当たり前ではない。

理想と現実をの狭間で、悩み苦しみながら成長していく、青年期の始めを過ごすこととなったこの辺境の地の村。


 私とレイモンドは、そんな神官様の事を見守っている。シナリオから逸脱しないように。

でもせめて、ほんの少しだけ、彼の身にイレギュラーが起きて、幸せな時を過ごせたらいいな~と思ってしまう。

 『こうゆう時こそ来いよ転生者!!!』と心の中で叫んでみる。


今度、シナリオから外れない程度にご飯でも差し入れしようかとレイモンドと相談中。


彼がほんの少しでも良い日を過ごせますように・・・・・・・。


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