エピローグ:欲の果てに得た理想郷
???「…まったく、あやつは一体何を考えているのだ。」
ミャークル「わ、私は嬉しいですよ?お嬢様とまたこうして一緒にいられて。」
日常に絶え間なく訪れる夕暮れどき…そこには元王女と元従者の姿があった。
レイミス「それは私も同じだが…うーむ。」
ミャークル「ほ、ほらお嬢様、そろそろうちへ帰ってご飯の支度をしないと!」
レイミス「はぁ…そうだな。ここでいつまでも愚痴を垂れていても仕方ない。…よし、帰るとするか!我が家へ。」
ミャークル「…はいっ。」
…。
メルティナ「あら?ファウスの様子が見当たりませんが…。」
スペルア「ああ、あいつならまだ遊びに行ったきり帰ってきてねーぞ?」
メルティナ「…いつもでしたら食事の時間には必ず帰ってきていたのに…何かあったのでしょうか。」
ディバルバ「ふんっ、そのようなことはどうでもいいわい。早く飯を食わせろ!」
ウェロル「…はぁ、他人と食事を取るのはいつになっても慣れんな…。」
ボルデッド「…それがこの家の決まりなのだから、仕方がないだろう。」
日が沈み夜を迎えようとする頃…丘の上にあるロッジには、見飽きるほどに見慣れたメンツが食卓に着き仲間の帰りを待っていた。
食欲をそそられるその匂いはキッチンから漏れ出し席に着く者の鼻腔をくすぐる。
一刻も早くその食事にありつきたいと叫ぶ者もいれば、逆に食欲が失せている者もいる。
そんな賑やかしい日常に駆け込んでくる者が一人。
ファウス「ごめーん!遅くなったー!」
ドアを勢いよく開け息を切らしながら入ってくるその人物はあちこち泥だらけであった。
メルティナ「まぁ、今日は一段と派手に汚しましたね。」
ファウス「へへへ、なんか遊んでたら思いの外楽しくなっちゃって…。」
ディバルバ「喜び勇むのは結構だが、さっさと着替えて来い!わしはもう空腹の限界じゃぞ!」
ファウス「わわっ、ごめんごめん、今すぐ着替えてくるよ!」
慌ただしく二階へと駆け上がっていくその姿を見てため息をつく人物が一人。
スペルア「はぁ…ホントいつまでたっても変わらねーな、あいつは。」
メルティナ「いいのではないですか。わたくしはいつも、ファウスを見て元気をもらっていますよ?」
スペルア「元気なのと喧しいのはちげーだろ。あいつは大人しくしてるくらいがちょうどいいんだよ。」
そうこうしているうちに、簡単に泥を落とし着替えも済ませたファウスが降りてくる。
ファウス「おっ待たせーっ!さぁ、今日のごはんはなーにっかなーっ!」
メルティナ「きちんと手は洗いましたか?」
ファウス「もちろんだよ!」
ディバルバ「もう良いな?食べるぞ?食べるぞわしは!」
メルティナ「待ちきれない人もいるようですし…では、頂きましょうか。」
全員で手を合わせ、一斉にその言葉を口にする。
「「「「「「いただきまーすっ!!!」」」」」」
騒がしくも賑やかな日常は、こうして今日も過ぎていく。
なんでもないただ日常が…いつまでも、どこまでも続いていく。
これは、そういう世界だから。
そこに欠ける人物がいたとしても、その日常が変わることはない。
その世界を望んだ世界は今日も、そこにあり続ける。
その想いが…あり続ける限り。
…fin.
という訳で『to decide』はこれにて完結です。
小説を書くのはこれが初めてなので拙い点が多々見受けられるかと思いますが、少しでもこの『to decide』の世界を楽しんでいただけましたら幸いです。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。




