鬼
この時間帯のコンビニとは 実に安心感がある
普通ならばもうとっくに皆眠りについている頃だろう
外に出ている人なんて見当たらない
物音さえしない田んぼに囲まれた
うるさいくらいの鈴虫の鳴き声に囲まれた
このコンビニ
時間帯がだいたい想像がついたあたりで
私がどうしてこんな時間にこんなところに
いるのか そんな事は私が聞きたい
青春時代真っ只中の17歳がやりがちな現実逃避である
買うものも特にない
コンビニが好きだ
ただ それだけの理由といつもこの曜日、この時間帯に来てジャンプを立ち読みするコンビニとはとても似合わないような身なり正しい色白な彼を横目で見ながら買ったばかりのガリガリ君をほおばりながら店を出る
しまった、袋はいらないという事を伝えなかったせいで 使われてから3秒で不要な物となってしまった白いビニール袋が私にガサガサと音を立て怒っているように見えたのですぐにあのなんとも言えない人1人入りそうな大きなコンビニのゴミ箱に投げ捨てた
話は店内にいた彼の話に戻る
彼を初めて見たのは半年前
初めて見た時 こんな時間に若い男の子?と不思議に思った でも私自身若い女なのだから なにか言ったらすべて自分に返ってくるので、やめた
それから 毎週彼はあの時間に来る
男の子関係の経験が全くない私からして見ても
彼はものすごく顔が整っている
身長は176.いや、177くらいで 細身でスラッとしているシンプルという文字から生まれたような服を着ていて清潔感が溢れていた。
黒い髪は少し目にかかっていて
そんな彼の目が私に向いてしまったら
私はどうなってしまうんだろう、と
起きもしない事を延々と考えるのは人間の悪いところなのか かわいらしいところなのか
ため息をつきながらその日は満月なので
鼻歌とやらものを歌いながら帰った




