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始まり
『ごめん…ごめんね…---』
酷く嫌な夢をみた
幼い頃から好きで、ずっと思い続けた彼に振られたあの日の夢。
「なんか、もう生きる気力がないなぁ」
男に振られたぐらいで大袈裟な、なんて言われちゃいそうだけど。
でもそれだけ彼を愛して居たんだ。
大袈裟な事に変わりはないが。
-はぁ
漏れる溜息、無意識に視界に写してしまう彼。
なんて未練がましいのだ。いい加減諦めろ。分かっている。わかっているけれど
「あれ?美咲ちゃん。どうしたの?」
「んー…まだ豆のこと考えてた。」
声をかけたのは千菜穂ちゃん。
私の数少ない友達。
豆っていうのは千菜穂ちゃんに恋愛相談する時につかってた隠語のようなもの。
「そっか…」
「でも!豆のこと考えるのは今日からやめにするの!それで--」
新しい恋をするんだ。
そうしないと彼の事を忘れられない。
早く忘れないと。