第8ゲーム ≫真実≪
上杉が撃たれた。
「きゃあああああ!?」
「上杉さん!?」
「そんな……!」
「……夜月くん、それ」
「夜月くんが犯人なの?」
「ああ」
「ウソだよね?」
「嘘じゃない」
「ちょっと僕の事、忘れてない?」
そういって月夜は銃を取り出す。
「月夜ちゃんまで……!」
「どうしてこんなことをするの!?」
「実験だよ。薬のな。普通人間がゾンビみたいになったりしないだろう?」
「薬ってなんの?」
「まあ……簡単に言えば生物兵器みたいなものを作るため、とか。あと効率良く多くの人間を殺すため……とかかな」
「そんな!」
「誰がそんなもの使うって言うの!?」
「ん~……裏の人間とか戦争とか……とにかく薬とかは良く売れるんだよ」
「…………」
全員が絶望していた。
もう、助からないかもしれないと――
夜月が口を開く。
「ほら、逃げなくていいのか? 早くしないと俺の可愛い狗がお前達を噛み殺しにいくぞ?」
「ひ……」
「……死んで……死んでたまるかよお!!!!」
横田、昭太が必死で走り去っていく。
それに月夜が少し反応する。
「月夜。あいつらを始末しろ。1匹も逃がすな」
「りょーかい。こっちは?」
「俺が殺る」
「わかった」
そういって月夜はパタパタと走っていく。
徹と葉は恐くて動けなくなっていた。
葉が震える声で夜月に訊ねる。
「……どうやって殺したの」
「ん? そんなことが気になるのか? ……まぁ、冥土の土産に聞かせてやるとするか」
「…………」
「楓の時は、あの白い部屋でお前らが一生懸命暗号を探している間に俺達以外の研究者達に楓の食事をなくし、水に薬を盛るようバレないようにメールしたんだ」
「研究者!?」
その時、上杉が言っていた言葉を思い出す。
『私は犯人が複数いるんじゃないかと思う。それも組織レベルの大人数』
「あとは首を吊ったようにすれば終わりさ」
→→→→→→→→→
「ンーーー!」
楓は拘束され身動きが取れなくなりただ喚くだけだった。
そこに夜月が現れる。
「ふむ。まだ元気だったか」
「んー! んーんー!!」
「……煩いな」
夜月は楓の口に詰めてあるタオルを取る。
「はぁ、夜月くん! 助けに来てくれたの!?」
「…………」
「あの、さっきはゴメン」
「…………」
「あの、何か食べ物無いかな? 肉とか。何か食べないと頭が可笑しくなりそう!!」
「…………」
「お肉! おにくおにくおにく!!」
夜月は縄を取り出す。
「えっ! なにそれ、縄!?」
「……まだ理性が保てていたか」
「い、いや!! 何するの!?」
夜月は楓の首を縄で締め上げる。
「やっ、め……くる、し……」
「だ、……れ、か……たす……」
楓は呼吸が出来なくなった。
夜月が楓を首吊り死体のように見せかける。
「助ける? ……何を馬鹿なことを……俺は助けに来たんじゃない。殺しに来たんだ。残念だったな」
そう吐き捨てて夜月は部屋を出ていった。
→→→→→→→→→
「…………」
「なんだ? どうした。急に黙りこんで」
その時遠くから銃声が聞こえてきた。
「どっちかが死んだみたいだな」
「…………」
「どっちだろうな。男か? 女か?」
「ま、どっちでもいいけど」
少し前。
「いやだぁ……死にたくない」
昭太はにげみちを探していた。
「どこだー逃げ道は」
こんなことならあの子に、自分の大好きな幼馴染みに想いを伝えておくべきだった。
そもそもこんなものに参加しなければ良かった。
そう、昭太は考えていた。
背後から物音がする。
月夜だ。
「ヤバい、来た来た来た来た来た来たああああ!!!」
「ネズミ、みーーーーーっけ!!」
「う、わあああ……」
「何? もう逃げないの? つまんないなぁ……」
「んじゃもういいや。はぁい、1匹目♪」
「やめ……」
昭太の言葉は銃声に掻き消された。
「さて、多分1人死んだところで次の話をしようか」
「七穂さんのあの答えの書いた紙はどうやって?」
「あいつも笑えたな」
「……!!」
夜月はへらへら笑っている。
楽しそうに。子供のように。
葉は必死で真実を聞き出そうとする。
最後に待ってるのがたとえ死だとしても……。
希望を、捨てない。
「さて、七穂が死んだ時の話をしようか」




