第7ゲーム ≫疑い≪
長野を上杉に預け、他はなにやら話をしていた。
「いいのかな? これで」
夜月が反応する。
「何がですか?」
葉が全員に訊ねる。
「だって全部上杉さんに任せっきりだし、もう少し長野さんの状態を詳しく聞いたりした方が良いんじゃないの?」
「確かに。それに全部1人でやろうとする上杉さんは怪しいしな」
「私もそう思う!」
昭太と横田が割り込んでくる。
「つまり皆さん上杉さんを疑っていると?」
すると葉が、
「あっ、いや、私はそうじゃ無いの」
「兄さん、僕も上杉さんは犯人じゃ無いと思う」
「ああ。俺もだ。徹は?」
「おれは、よくわからないけど上杉さんじゃ無いと思う」
「絶対犯人だろ」
「そうよ!」
「決めつけるのはまだ早いのでは?」
「でも!」
「あの! おれの勘……なん、だけど……犯人は上杉さんじゃ無くてもっと、こう……意外な人だと思う!」
「意外な人……まあ犯人探しはあとにして今日はもう、休み……」
言い欠けた所で誰かが割り込んできた。
「休むにはまだ早いかもしれません」
「上杉さん?」
「どうやら長野さん、手の感覚が無さそうなんです」
「感覚が?」
「さらに目も霞んできているそうで……」
「なんで??」
「それはわかりません」
「とりあえず様子を見に行きましょう」
長野は相変わらず怯えていた。
その時にはすでに耳も聞こえなくなっていた。
「五感全て使えないとは」
「何かメモ出来るものでもあればね……」
「あっても感覚が無いんだからペンすら持てないだろ」
「あ、そか」
「月夜、お前馬鹿か」
「さすがに怒るよ?」
「……ッ! ……ゥゥゥゥ……」
いきなり長野は苦しみ始めた。
「長野さん? どうしたんですか? 長野さん!?」
長野は必死に何かを訴える。頭を強く押さえながら最後はベッドから転げ落ち、動かなくなった。
その瞬間、夜月だけが気付いていた。
長野が最後に月夜の方を見ていたことを。
「……死んでる!?」
「えっ、うそ……僕、が僕のせい」
「おい、月夜落ち着け!」
「僕が階段から突き落としたから……」
「だから、落ち着け! な?」
「兄さん……」
それで月夜は少し泣き出してしまう。
「…………」
「疲れているかと思いますが今後、どうするか話し合いましょう」
PM9:45。食堂。
「月夜ちゃん? 大丈夫?」
「はい、なんとか……」
「夜月くん。私は犯人は複数いるんじゃないかと思う。それも組織レベルの大人数」
「俺もそう思います。それにこの不可思議な死の遂げ方、何か新しい薬でも使わないと無理だと思います」
「てか、上杉さん怪しくね?」
「は?」
「行動が1番怪しかったし」
「違う私じゃ無い」
昭太と横田がさらに言う。
「お前ならアリバイつてのが無い時刻、いっぱいありそうだな」
「だから……」
「私達をどうするつもり!?」
「さっき、薬の話してたよな。上杉の私物から白い粉を見つけた」
「なっ!」
「え……うそ、じゃ上杉さんが」
「信じられない」
「薬なんか知らない! 本当だ!!」
「じゃあこれは何なんだよ!?」
昭太は白い粉の入った瓶を取り出す。
「だから知らない!!」
「私じゃ無い! ……そうだ! 夜月。君なら信じてくれるはす」
「…………」
「本当に私じゃ無い!!!」
「嘘つくな!」
「本当だ! 夜月くん、信じてくれ!!」
「…………」
「私は何も……」
「ええ。信じますよ」
「夜月く」
その時、上杉の言葉は銃声に掻き消された。
これから何が起こるのか知っているのは
ーーーーだけ。




