第6ゲーム ≫不安≪
立て続けに2人の死者が出て全員が恐れ不安になっていた。
そして全員が落ち着いてから問題の答え合わせをする事になった。
七穂の遺体の側にあった紙にはこう書いてあった。
英数字の数の分だけ左から数えた所の文字を並べる。
Ⅲ Ⅶ Ⅴ Ⅵ Ⅳ
花畑〔に〕真っ白なお花が咲いている。
男がナイフ掲〔げ〕笑ってる。
少女は恐〔れ〕泣いている。
鋭いナイフ〔な〕にもかも終わらせた。
お花 儚〔い〕お花 後には真っ赤に咲いている。
〔〕の部分を並べると、
にげれない
さらにⅢⅦⅤⅥⅣは語呂合わせで
ⅢⅦⅤⅥⅣ→37564→ミナゴロシ
皆殺し
「はっ全員死ぬから逃げれねぇて事か」
昭太が吐き捨てるように呟く。
「やだ……死にたくないよぉ……」
横田が泣きそうな声で言う。
「兄さんこの紙どうする? しっかり者の上杉さんに預かってもらう?」
「ああ。そうだな。上杉さん、この紙預かってもらっていいですか?」
「わかった」
「にしても……ちょっと不自然だね」
「何がですか?」
葉が何かに気づく。
「なんでこれだけ手書きなのかな?」
「確かに」
「ホントだ! スッゴク字、キレイ」
「いや、そこじゃないだろ」
月夜は相変わらずマイペースのままだ。
「そんなこと考えていても意味無いのでは?……」
上杉が言う。
「とにかく今日は早めに休みましょう」
「そうですね」
「…………」
長野は何か違和感を感じているようだった。
「おかしいよな……」
長野は七穂がまだ生きていた頃の事を思い出す。
→→→→→→→→→
(ん? あれは……月夜ちゃん?)
(なにしてるんだろ)
すると月夜は七穂の夕食に白い粉のようなものを入れた。
(あれって、クスリ? でもなんで?)
その後すぐに月夜はその場を去った。
→→→→→→→→→
長野はその事が気になっていた。
(もし、月夜ちゃんと上杉が共犯だったら……)
「……これは、まずいだろ……」
「兄さん、先お風呂入ってきていい?」
「あ? 徹に聞いてみろ」
「な、なんで怒ってんの?」
「いや怒ってないけど?」
「そう? 徹、先お風呂入ってきていい?」
「あ、うん。いいよ」
その時、扉をノックする音が聞こえた。
「はい。どうぞ」
「ちょっと月夜ちゃん、いいかな?」
「長野、さん? どうしたんですか?」
「ちょっと……」
「わかりました」
月夜が面倒くさそうに頷く。
「月夜」
「大丈夫。多分」
月夜は部屋を出ていった。
「何ですかぁ?」
「まぁ、そう怒らないで。ちょーっと聞きたいことあって」
「だから何ですか!?」
「七穂ちゃんの夕食に何か白い粉入れてたよね?」
「は?」
「俺、見ちゃったんだけど」
「……ッ!」
「あれ?図星かな? あれってクスリだよね?」
「…………」
「どんな効果あるの? 2人を殺したのって君?」
「…………」
「お兄さんは知ってるのかな? 上杉と共犯?」
「…………」
「黙ってないでさぁ、教えてよ」
「ちょ……」
月夜は壁に追い込まれてしまう。
「別に犯人とかはどうでもいいからさ」
「やだ……」
「俺だけでも逃がしてくれないかなぁ?」
「やめて」
「じゃないと……」
「やあ!!」
その瞬間、長野は階段から……
「うああああ!!」
「夜月兄さん、今のは……」
「長野の声だ! 月夜が……」
長野の声を聞き付けて夜月は駆け出して行った。
「あ! 待って!!」
徹が叫ぶ。
そこには泣き崩れて座り込んだ月夜がいた。
「おい! どうした?」
「に、にい、さん……あ、あの、あのね……」
月夜が指差した方には階段から転げ落ちた長野がいた。
「どうしたんですか?」
上杉や他の人も集まってくる。
「長野さん!?」
上杉が長野に駆け寄る。
「……意識を失っているだけみたいです」
「え……」
「月夜、どうしてこうなったんだ?」
「……ッ! あ、あの」
「……落ち着いてから話そう。部屋に戻ろう?」
「うん……」
「誰か長野さんを運ぶの手伝ってくれませんか?」
「あ、俺手伝います。徹、月夜を頼んでいいか?」
「うん」
「じゃあ、夜月くんは足の方を」
「わかりました」
「……意外と重かった」
「ですね……ついでに私物とかチェックします?」
「勝手にいいのか?」
「多分」
「まあ、わりと長野さん怪しいしな」
「じゃあ上杉さんは向こうの方お願いします」
「わかった」
「……無いですね」
「至って普通の私物」
「部屋に戻りましょうか?」
「そうだな」
「戻ったぞ」
「兄さん!」
部屋に戻ると月夜は布団の中に潜り込んでいた。
「あ、あのね!」
「落ち着け。徹、ちょっと部屋から出てってもらえるか?」
「あ! う、うん!」
「すぐ終わるから」
「わかった」
夕食の時間。
「月夜ちゃん、大丈夫?」
葉が夜月に聞く。
「ええ、本人が言うには今後の事で少しもめただけだとか」
「そう、ならいいけど」
「ちょっと長野さんの様子、見に行きましょうか」
「そうだね」
「長野さん? 入りますよ」
返事がなかった。
「開けてみましょう」
扉を開けると長野はひどく怯えていた。
「どうしました?」
長野は何かを必死で伝えようとする。
「……もしかして声、だせないの?」
長野が頷く。
「なんで……」
「とりあえず、今日は休みましょう」
上杉が割り込んでくる。
「長野さんは私が見てるので」
全員、賛成した。
これから何が起こるのか知っているのは、
ーーーーだけ。




