CONFEDERATE
空が暗くなり、ボールが見えにくくなってきた。弱小校なので照明の設備はない。いつもどおりのメニューを終えて、部室兼更衣室へと部員たちが流れていく。打ちっぱなしコンクリートの狭い更衣室に二十人弱の高校生が入って、猥談をしながら着替えている。
「せんぱーい、今日噂の美少女転入生といちゃいちゃべたべたしてたらしいじゃないですかー。うらやましいですなー。スーハースーハーしましたか?」
噂に尾びれがつきについて怪魚のようになっておる。
「チンコ噛み千切って死ね。二言三言話しただけだっての。」
「ほー。色恋沙汰で浪人とかしないようにしてくださいよー」
「へいへい。」
「知り合いなの?」
と、これは今朝のホームルームで担任に質問をした田中少年である。
「いやー、そういうわけでも」
「ふーん」
信じていない目をしている。
着替えを済ませ、後輩たちが大富豪しているのを横目に三年生である僕らは部室を足早に去る。部活後に自転車をこぎながら浴びる風は心地よい。そんな心地よさを味わいながら、途中、本屋の誘惑に打ち勝ち、僕は塾への道を急ぐ。
自習室は十時に閉まる。それまで鉛筆を握らねばならない。その間に一度、コンビニでカップラーメン買って、無駄に長い休憩を取る。今日もそうだ。
「お前さ、携帯みた?」
とこれまた田中少年である。こいつとは部活も塾も一緒なのでやたらと一緒にいる時間が長くなる。
「あ、ごめん、なんかメールした?」
といいつつポケットをさぐる。新着メールの文字。
『初メールです!! 田中くんからアドレス聞いちゃった、てへ。今晩よろしくね。あ、彼も手伝ってくれるらしい。というわけで塾が終わったらプールまでGO!』
花子からだ。そうか、田中のあの疑ったような目はこいつが俺のアドレスを訊いたからか。
「どうして教えた?」
「いやー、教えたら一緒に今晩楽しいことできるっていうからさ」
「お前絶対に危ない宗教とか悪徳商法なんかに引っかかるよ、将来」
「」