ゲーム世界3
ゲームへと入ると、ギルドの建物へと向かう。
ハッピーとそこで落ち合うと約束したからだ。
「おう、きたか」
すでにハッピーはそこにいた。
「そりゃ来たさ。買い物につきあってもらわんとな」
「ま、宿題のお礼だしな。あ、ついでだからって、カスガイとサチも一緒に行きたいって」
「じゃあ、待っとくか」
俺はハッピーに言って、ギルドの部屋の椅子に座って、適当に話していた。
5分ほど待っていると、二人ともやってきた。
「やっほ」
サチが俺に話しかけてくる。
「おう、待ってたよ」
俺が言って、二人とハッピーとともにギルド会館から出た。
「買い物は、基本的に3つの場所で行うことになる」
説明をしてくれているのはカスガイだ。
今日はライターはいないから、学校と同じ4人組だ。
「まあ、大都市と言われているところには、たいがいこの3つはそろっているし、だいたいの町にもそろってるから、気にしなくてもいいさ」
そう言いながら連れてきてもらったのは、armsと書かれた店だ。
「簡単に言えば、武器屋さ」
カスガイはさらっといってのけて、何事もないように店の中へと入っていく。
俺もカスガイたちについて中へと入った。
簡素なつくりの店内には、普通の雑貨店と同じようにあちこちにいろいろな商品が置かれていた。
「そういやキツツキ」
ハッピーが俺に話しかける。
「所持金、いくらだ」
「たしか、初期設定値の100TMだな」
「じゃあ、武器も防具も多少のアイテムも買えるな」
そう言って、うずたかく積まれている剣の山から一本を取り出して、俺に渡してきた。
「一番最初は木剣って、相場は決まってんだ」
木剣は1本で2TMだ。
「そんなものか」
ハッピー一人ではなくて、一応サチとカスガイにも聞いておく。
「これでいいかな」
「ああ、大丈夫だな」
一応店内で素振りをして、カスガイが剣の状態を確認する。
「耐久度も大丈夫そうだし、壊れてるってわけでもないしな。これでいいだろ」
レジはあっちだよと教えてくれたので、サチも一緒に買いたいというものがあるらしく、ならんでレジへと並ぶ。
「何買うんだ」
「私はね、鉄の大剣。ちょうどほしかったところだったからついでにね」
鉄の大剣は、1メートルぐらいはある大きな剣だ。
木でできてるものなら大概一発で破壊できるそうな。
「しかしそんなでかい物振り回して、俺をぶっとばさないようにしてくれよ」
「大丈夫だって、これ振るうのは、敵に対してだけだもの」
笑って答えているサチが、少し怖く感じた。
レジでの支払い方は、まるでキャッシュカードのような感じだ。
実際には、キーボードにパスワードとIDを入力して、認証を受けるだけだ。
1万TM未満なら全てこの方法で、それ以上の買い物の場合は一番初めの仮IDをさらに入力する必要がある。
武器を買った後は、protectorと書かれたところだ。
「ここで防具を買うんだ。まあ、基本的なラインラップは、武器屋とあまり変わらないから、お前には木の盾あたりが一番だろうな」
ここではカスガイが見繕ってくれた。
「ああ、これだな」
これも山積みになっている盾の中から一つを引っ張り出して買う。
こんどは俺一人でレジへ向かって支払った。
再び大通りに出て、こんどは別の店へと向かう。
「ここだ」
カスガイが来たのは、大きなスーパーだ。
「必要なアイテムはここで大概買える。ま、言うよりも見た方が分かりやすいだろうから、ちょっと入ってみるか」
カスガイとサチを先頭にして、俺たちはそのスーパーに入った。
ドラマとか映画とかで、アメリカのスーパーを見たことがあったが、それを体験することになるとは思わなかった。
「スーパー「ランドルフ」。仮想空間だから、ありえない大きさのスーパーだってできるんだ」
確かに、外側の建物の大きさは他のと大差なかった。
だが、店内は地平線が見えそうなほど広い。
「品物約50万種、販売個数約300万個。巨大スーパーだよ」
カスガイが説明をしながらカートの準備をしている。
「じゃ、必要なものでも買うか」
そういって、滑るように歩いていった。
買ったのは、どれもHP回復やなんかの材料のようなものばかりだった。
「これで今日はいいかな。こんどはライターも来るって言ってたし、次の休みの日には街の外へと出てみるか」
「了解、そのときにはまた連絡よろしくな」
俺はカスガイからの今後の予定を聞いて、盾と剣と共に宿屋へと戻った。