ゲーム世界2
ゲーム世界へやって来た俺は、すぐにギルド会館へと向かった。
「おう、今日は全員集まる予定だからな」
「わかった」
すでに部屋で待っていたカスガイに、俺はあいさつを交わして、ほかの人が来るのをひたすら待った。
「そういえば、学校で聞いてたな。一対一の争いについて」
カスガイが、部屋に置いてある椅子に座りながら、何かの帳簿を見ながら言った。
「ああ、そうだな」
「その訓練もかねてとなるが、全員集まったらその訓練場へ行く予定だ。いいよな」
「もち」
俺はカスガイに言ってから、俺も近くの椅子へと座った。
次にやってきたのはサチだ。
「二人とも先に訓練場に行ったわよ。私たちも行きましょう」
「どこの世界だい」
「始まりの街だから、たいして変わらないわよ」
サチがカスガイに笑って言っていた。
「どういうこと」
「始まりの街の中であれば、どの世界であっても、レベル関係なく入ることができるんだ。ただし、ギルドに入っていることが前提とはなるけどね。そして、その外に出るときに、初めて職業とかレベルとかが係るようになるっていう仕組み」
そうだったようだ。
俺はまだレベル3で、やっと冒険士3級だ。
まだまだカスガイたちにはかなわない。
それでも、いつの日にか肩を並べて歩けるようになりたい。
ギルド会館からでて、案内してもらった先にあったのは、さっきと同じような建物だ。
今度は、カードを2枚ずらして重ねたようなマークが掲げられている。
「ここの3階か」
「ええ」
カスガイとサチはあっという間に建物の中へと入ってしまった。
俺もあわてて二人の後を追う。
建物の中に入ると、まず俺だけは受付をすることとなった。
「初めて入る建物については、すべて受付が必須だからな。しかたない」
あきらめるようにと付け足したカスガイを待たせていたから、さっさと書いて、目的のところまでは会談で登った。
「5回以上じゃないとエレベーターってないのよねー」
残念そうに、階段を上がりながら言っているのはサチだ。
「仕方ない、仕方ない」
3階に着くころには、疲れているだろうと思ったが、意外にもさほど疲れはなかった。
「ここだ」
部屋番号を確認すると、ギルドのと同じ番号だった。
ドアを開けると、中に二人ほどいた。
「こっちでは初めてだったな」
男が先に立ち上がったが、すぐに誰かわかる。
「ハッピーか」
ステータスをすぐに確認して、相手がだれかを確かめる。
「ということは、こちらの女性が、ライターさんですね」
彼女はうなづいた。
「よろしくお願いします」
手を差し出したが、彼女は無視した。
どうしようかと僅かに考えたが、何も言わずに俺は手を引っ込めた。
それから間を挟まずに、カスガイが俺とライターを向い合せた。
「では、これから訓練を開始したいと思います。お互いに、いいですね」
「おう」
俺は言った。
ライターはうなづいた。
「では、宣言を。慣れるという意味合いも兼ねて、キツツキ、よろしく」
「これからあなたに一対一での決闘を申し込む」
すぐに、周りにはフィールドが形成された。
うず高く盛られたカードの山、周りからの声は聞こえず、ただ、ライターが呟いているのが聞こえた。
「よろしく、願います」
それがすべてだった。
か細い声とともに、自動的にカードが俺の足元に揃う。
一斉に表向きとなり、相手側のカードと俺側のカードのすべてが見えるようになった。
俺の手元のカードの数字は、1、5、2、7、1。
相手のカードは、8、5、6、7、1。
これからが問題だ。
カスガイの声が聞こえる。
「キツツキ、ライターともに、同時に一枚を選択し、場に出す。場に出したカードの大きいほうが勝ちだ。これが1セット。計5セット、手元のカード5枚がなくなるまで続けてもらう。それで1セクター。合計3セクター行って、2勝したほうがこの勝負の勝者となるんだ」
「なるほど、わからん」
だが、わからんなりに理解はした。
「じゃあ、えっと…」
俺はまずは1を選択した。
「選択したら、あとは相手が選択すると自動で場に出される」
カスガイが教えてくれる。
ポンという電子音が響き、カードが勝手に動いた。
ライターが出したのは、1。
「引き分けの場合であっても、流されることになる」
「そうなのか」
聞こえてないだろうけど、俺はカスガイに言った。
「これをひたすら続けるだけ」
ライターが言った。
「そうなんですか」
こくりとうなづく。
「ここまでが1セット。これを5回続ける」
「ふむふむ」
「そして、5セット終わった時点で、集計が行われる。これが1セクターの終わり」
さっさと終わらしましょうとライターが言って、すぐに2セット目に入る。
1セクターが終わると、置かれていたカードが光り、一か所に集まった。
そして、俺が負けたことを知らせていた。
「これで1セクターが終わり。これを2度か3度、合計して行うことになる」
ライターが説明をすると、すぐに山からカードが配られる。
俺は2セクターでも負けたため、2敗となったために、今回のゲームはライターの勝ちとなった。
終わると同時に、元の部屋へと戻った。
「これで終わりさ。ここで勝っていたら、ファーストウィン記章がもらえたんだがな」
「残念だな」
俺はハッピーに告げる。
「そろそろ時間だから、俺は落ちるよ」
「分かった。じゃあ明日な」
カスガイが俺に手を振ってくれ、別れ際にライターがメアドをくれた。
いつでも連絡していいということらしい。
俺もみんなに手を振って、今日は宿屋に戻りログアウトした。