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現実世界15
筐体から出ると、すでにデリア以外は戻っていた。
「あとは、デリアだけか」
「中で、どんな戦いになっているかっていうのは、みることができないからなぁ……」
残念そうに鎹が言う。
「んじゃ、その間に、俺はちょっと遊んでくるさ」
「分かった。けども、すぐに来れるところにいろよ」
「分かった分かった」
俺は二度返事をして、それからゲームセンターのなかをうろうろした。
1時間ほどすると、一通りしたい物も終わってしまった。
だが、筐体のところへ戻ってみると、デリアは、未だにこっちに戻ってきていないと言う。
「何時間だ」
「かれこれ3時間、といったところかな。もしかしたら、内爵に勝ったのかもしれないな」
「だけども、一人きりだろ。かなり苦しい戦いになることは間違いないんじゃないか」
俺が鎹に聞くと、沢板がよこから俺たちに話しかけてくる。
「デリアなら、きっと大丈夫。このガラリンギルドで一番強いんだから」
確かにそうだ。
それに、今の俺たちに、戻ることはできない。
だから、今は祈っているだけしかできなかった。




