Onedayー女子力
「か、川端‼」
ある記憶がフラッシュバックした。
そうだ、あの綺麗なスライディングポーズは
野球部に所属する川端、彼がセーフティバントを決めるときに見せるものだ。
ズザザッッッ
川端が桜木の真横に滑り込んできた。
「か、川端…。セーフだ。」
川端はいまだ、地面に顔を埋めたままであったが、右手の親指が静かに立った。
「桜木、川端、奴らが来た。とりあえず、走るぞ!」
走りだしたはいいが、どこへ行けばいいのだ…。
いや…答えは簡単だ、奴らのいないところに違いない。
ただこの施設は行ける場所が少ない。さっそく、道が二手に別れていた。
「どっちにいく⁉」
川端が言った。
女子がいる梅の部屋、多分、あっちも同じ状況だとすれば、行く訳にはいかない。
すると、簡単だ。左はない。
「右だ。右へ進もう。」
桜木が答え、再び走りだそうとしたときだった。
「ま、まって…まって‼」
女子の声がして、左の道に人影が見えた。
中谷が警戒を強める。
「えっ、咲さん…」
現れたのは、クラスメートの女子三人だった。その中には、桜木が好きな松枝 咲もいた。
「た、助けて…」
女子から言葉として聞こえたのはそれだけで、あとはただ泣いているだけだった。
「あうぁぁぁぁ」
奴らがやってきた。
いやー‼と女子達が叫び、パニックになっていく。
「まずい。よ、よし、みんなついてきてくれよ。」
中谷がみんなを落ち着かせ、再び走る準備に入った。
「さ、咲さん。大丈夫…?」
コクリ、と小さく頷いた。
か…かわいい…
こんなこと思っている暇じゃない。
それでもそう思わせる咲さんの力は偉大だった。
なんだかんだでギリギリ20日に間に合わせました。
今回はストックを作る必要もあって、量が少ないですが、おかげさまでかなり話の構想も固まり、ハイスピードで書いています。
ですので、これからも応援よろしくお願いします。
次回は20日か21日に投稿予定です。