Fivethdayー孤城
「『ビーナス』は一体何をする為の薬だったんだ……?最後は単なる殺人道具…」
黙れ!!!!!と石原が言葉を遮った。
他の人がビクッと体を震わせた。
「『ビーナス』は本当は誰でも簡単に顔を整形出来る画期的な薬だったんだ……ただ…副作用が強かっただけなんだ……」
中谷が石原の肩に手を置いた。
「なら……なら生きて帰って、作るしかないよな……」
え…?と石原は呟いた。
「戻ろう、石原。一緒に」
パリーン!!!!!入口の方からガラスの割れる音がした。
直後何かが床に当たる音がした。
「まずい、ゾンビ達が侵入した!」
藤谷が向こう側の様子を確認し伝えた。
「こっちへ!」
石原が研究所の奥へとみんなを引き連れた。
「この階段を下りて!さぁ早く」
桜木は石原がこんなにも感情を出す人間なんだ、と初めて知った。
案内された階段は地下へと繋がっているようで下の方は薄暗かった。
「ウァァワァァアァァア」
いままでとはまた違う声でゾンビが叫び声を上げている。
「ドアを閉める!どけ!」
地下の部屋に到着し中に入ると石原はドアを閉め、慌てて鍵をかけた。
「ここは……」
パチ、スイッチが点き電気がついた。
「ここは、無線連絡室及び……ダストホース室だ」
ここが…と桜木もしみじみしていた。
「無線室か……もしかしたら助けを呼べるかもしれないな」
使えるのか?と中谷が聞きながら席についた。
「電気が来ているはずだから…たぶん使えると思うが…」
中谷が電源スイッチを探し押した…が反応はない。
「あぁダメだ、多分断線してるな……工具あるか?」
多分、と石原が置いてあった机の中を探し始めた。
「桜木、拳銃を持っていてくれるか?」
石原から拳銃を渡された桜木は外の様子を伺う為耳を扉に当てた。
「いない……?」
中谷に工具が渡り電源コードを直し始めた。説明書も何もないが、その様子は全て把握しているようだった。
桜木の方はしばらく耳を当て続けていたが、ハッとした顔をするとドアから離れた。
「咲さん……ちょっとこっちへ来といてくれる?」
「う、うん…」
と咲は藤谷を連れ扉の近くから離れた。
「中谷…ちょっといいか?」
……あ、あぁ
と作業をしながら話し始めた為反応が遅かった。
「もしかしたら……ドアの向こう側にいっぱいまでゾンビがいるかもしれない」
「……ど、どういうことだ…それ」
いまの反応は作業しているからではない、驚愕からである。
「さっきからゾンビの声も、あるいは扉にぶつかる音もしない」
それはつまり…?と中谷が聞いた。
「多分、動けなくなるほどにドアの向こう側にゾンビが集結してる」
中谷が作業を終えて扉を確認した。
「本当なのか?」