Fivethdayー敵か味方か
これ以上玄関ホールには何もなさそうなので4人は奥の部屋へと向かった。
「二階は……ないのかな?」
屋根の高さを見ると二階までは屋根の部分には天窓がついており、喚起し続けているようだ。その天窓からはいまだ青白く光る月と小さな星が輝いていた。
「ん…これは……エアシャワー?」
精密工場などでよく見かけられるその部屋に気付いた。
「ってことはここは工場ってことか……」
桜木もこの部屋はテレビで見たことがある、何か出て来るのではないかとビクビクしながら通っていくが特に何も起きず、次の部屋へのドアに辿り着いた。
「この先は化粧品を作っていた工場なんですね!」
咲は少しテンションが高いようだった。
「初めて見るな」
藤谷がそう言うと男子2人は藤谷と目があった。
藤谷は2人を交互に見ると恥ずかしそうに言った。
「な、なんだよ!私が興味持ってちゃ悪いか!」
藤谷は怪我をしているにも関わらず今にも飛びかかってきそうだったので先へ急いだ。
キイ………
両開きのドアを開けると、そこはとても広いいわゆるライン型の工場だった。
「っとうわ!」
桜木が何かに引っ掛って転んだ。
ちりんちりんちりん……
「痛っなんだ?」
桜木はよく状況が掴めていなかった。
「鈴に紐ってトラップ……?にしては随分古典的……」
藤谷があっ!と何かに気付いた。
「おい、この紐体操服のものだ」
その言葉にみんなの緊張が高まった。
「この施設にこの4人以外に生存者がいるってことか?」
しばらくの間、この罠を仕掛けた相手が来ないか警戒を続けていたが、現れなかった為先へ進むことにした。
特に工場は何か発見することが出来ず先へと進んだ。というのも工場の工程として機械のベルトと人が座ると思われるイス、机があるのみでそれ以外に物がなかったからだった。
再び4人は次の部屋へ向かった。
「開発部、研究所……工場と研究所が隣接してるのか……」
一つしかないドアのプレートを中谷が読み上げた。
先程から火のついていた木の棒が消えかけており、字をみるのも一苦労だった。
やはり鍵は開いていたが、ドアは重くどうやら二重になっているようだった。
「工場の音を遮断しているのかな」
桜木の予想通り、壁にも防音効果のある壁が使用されていた。
重いドア二つ開けら研究所の中に入った。
「動くな」
いきなり強い光が4人を照らした。あまりの眩しさから目を逸らした。
「誰だ!」
藤谷が声をあげた。桜木が咲の前に立ち庇うような態勢になった。4人に緊張が走る。
パンッ!!!
全員の動きが固まった。
「拳銃……だと……」
中谷が唾を飲んだ。
「再度命令する、動くな」
声の主は再び言った。従うしかなさそうだ、と全員が悟った。
ふいにあれ…と咲が言った。
「この声……もしかして…石原君?」
咲の言葉に4人は目を凝らした。
そこには懐中電灯と拳銃を持つ石原が立っていた。
4人には困惑と疑問の表情が現れていた。
石原は死んだのではなかったのか…?何故拳銃を持ち、自分達にそれを向けているのか?そして何故ここにいて生き延びているのか?
「銃を降ろせよ、石原」
石原はしばらく4人を見回していた。
「他の奴はどうした?」
誰も口を開こうとしない。石原がチッと舌打ちした。
「答えろ、わかるだろ」
つまり、撃つぞ?ということであった。中谷が渋々話し始めた。
「死んだ、みんな死んでいった」
ふっ……と石原がニヤりとした。
「そうか、死んだか、フフフ、アハハハハハハハヒャァハハハ!」
石原が大笑いを続ける。
「貴様ァ、大概にしろ!」
藤谷がドスを聞かせていった。怒りが頂点に達しているのだ。
「そう怒るなよ…あれ?藤谷君、怪我をしているようだね、君も落ちたものだね」
ニヤニヤしながら石原は言った。
うるさい……と藤谷が歯を噛み締めた。
「まぁ、いい。俺にはお前らがここへ来るのはわかっていた」
えっ、と桜木は呟いた。
「石原……お前に聞きたいことがいくつもある。教えてくれないか?」
中谷は言った。
「……いいだろう。奥の部屋へ行こう」
石原は頷き、拳銃を降ろした。