Fourthdayー赤
いままでに二回も消えてかなりたくさん書いた気分になってます
「っと…みんなに傘を配っておく」
と中谷からみんなに傘が手渡された。様々な柄があるところを見るとどうやらクラスメートの雨具のようだった。
「よし急いで降りよう!」
中谷が屋根に降り、それにみんなが続いた。
1人が降りる度に屋根が軋んでいたがそれを気にする余裕はなかった。
桜木が最後に降りると体育のジャージのズボンに入っている紐で藤谷がチャッカマンを点火しっぱなしにしていた。
「投げ込むぞ!頭伏せろ!」
藤谷が振りかぶりチャッカマンを投げ入れた。
カツン……物が落ちる音をした後、窓から光が溢れた。
ま、眩しい。目が焼けるような感覚にあった桜木は慌てて目を覆った。
ドォォォォォォォォン!!!!!とけたたましい爆発音が鳴り地面が揺れた。
見ると玄関と窓から炎が溢れ出しそしてまた引いていった。
「行くぜ!」
川端が先陣を切って屋根から地面に飛び降りた。玄関にいたゾンビは炎に巻き込まれ倒れていた。川端がそのゾンビを掻き分け少し焦げていた荷物を背負った。
「よし大丈夫だ!みんな降りて来い!」
桜木はそれを聞き地面へ飛び降りた。
玄関は完全に崩壊しており中の様子は見えなかった。
しかしそこに燃えながら消えつつあるクラスメートの靴を見て仲間を失ったという感覚に襲われた。
「桜木。戻ろう」
中谷の言葉を聞き我に返った桜木はみんなと共に走り出した。
「くそ、もうゾンビが湧いてきやがった」
周りを見るとゾンビ達が林の隙間からこちらへ走ってきていた。
「こんのぉぉぉぉ!」
藤谷さんが前から向かってきたゾンビに傘を横に振った。傘は頭を命中しゾンビはバランス崩し倒れていった。
「そろそろ大群でゾンビが来そうだ。時間も遅くなってきた早く戻ろう」
中谷の発破により再び奮起し戦闘に身構えた。空を見るとすでに赤く染まっていた。だがそれよりも施設が燃え上がっていた。
なんとしても……戻るんだ……
施設を背に桜木は呟いた。
時を遡り桜木達が出発した30分後である。
咲と真矢は神谷の要望の軽食を食べさせる為に野草狩りを行っていた。
「しっかし神谷も能天気よね」
えっ?と咲は返した。
「だってあんなに怪我をしといてお腹が空いたから食べ物をくれないか、だよ?さすが男子って感じだよね」
「はは……」
咲は笑いながらたんぽぽを根から抜いた。咲はすぐさまそのたんぽぽが日本固有の種であると見抜いた。
「たんぽぽなんて食べられるの?ヨモギの葉はわかるけど……」
「たんぽぽは根から花まで全部食べられる野草の鏡なんですよ」
とここまでお祖母さんからの受けおりである。
「えええ!そうなの!」
真矢は驚くと地面に生えたたんぽぽを抜き始めた。
……桜木君…大丈夫かな……
「あ、いま咲ちゃん乙女の顔してた!」
咲のその顔を見逃さなかった真矢は笑いながら囃し立てた。
「そ、そ、そ、そんなことないよ!」
「もうわかりやすいんだから、まぁ相手が誰なのかわかってるけどね」
そ、そんなと喋ろうとする咲を無視し真矢はたんぽぽを抜き始めた。
やっぱり手を握ったのがまずかったかなぁ……と咲は考えていたが学校での二人の行動でばれていたのはもちろんのことである。
真矢が思い出したように言った。
「あ、そうだ!たんぽぽとか野草もいいけど神谷の言ってた湖のりんごを取りにいこう!そっちの方が喜ぶかもしれないし」
真矢の言葉を聞き咲も思い出した。ちなみに真矢の発言に若干失礼な部分があったが天然なので気にする人はいない。
「そうだね……灰汁抜きとかしなくて済むし神谷君が食べたいって言ってたもんね」
咲が同意したのを確認すると真矢は立ち上がった。
「よし、じゃありんごを取りに行こう!」
真矢が湖に歩き出したのに咲もついて行った。
そういえば水が無いんだった、と咲は思い出し灰汁抜きをどうするかを考えながら湖へ向かった。