Fourthdayー先手必勝
織田が丸を返し、指を三本立てて振った。
三秒で行くって事か…
みんなが頷いた。
3、2、1…
すっ…と織田が姿勢を低姿勢に保ち、走り出した。
それに藤谷、川端が続き、桜木、中谷も走り出した。
「うおりゃゃぁぁ!!」
織田が木の棒でゾンビの足を弾き、それに続いてすぐさま藤谷さんが顔面に木を思い切りついた。
バランスを崩していたゾンビの顔面に木が貫通した。
藤谷がすっ、と木を抜くと、どす黒い液体が流れた。
よく見ると叩かれた右足は折れていた。
やったか?と中谷が聞いた。
「だ、ダメだ!」
えっ?と呟いた。
確認すると、顔面に穴が空いてるにも関わらず、折れた足を内股に曲げ、立ち上がってきた。
「な、なんなんだよ…こいつ…」
織田が一歩下がった。
「川端!火を!!」
藤谷の指示を受けて、川端がたいまつを藤谷の足元に投げた。
藤谷がそれを拾い、ゾンビが腕を振り上げた瞬間、両手で再び顔面の額辺りに押し込んだ。
グチャグチュ…とグロテスクな音がした。
ゾンビは振り上げた腕をそのままガクンと落とすと、足から崩れ落ちた。
「…っ…はぁぁぁ…」
それを確認した川端はペタンと座りみ
「やべぇ…膝が抜けた。」
と続けた。
桜木自身も膝がガクガクと揺れていた。
中谷も冷や汗をかいたらしく、額を服で拭っていた。
こんな強…
「早く進もう」
川端が何か言おうとしたのを遮り中谷はそう続けた。
中谷なりの士気を下げないための策なのかも知れない。
だが桜木自身は川端と同じ気持ちだった。言いかけたこともわかる。
…こんな強いのかよ…一匹だけで…
正面だから、一体だから、先手を打てたから…
そう考えれば考えるほど恐怖心が自分の心を渦巻いていた。
織田が再びたいまつを投げ、そして進む、その行動が続いた。
かなり進み続けただろう。
ようやく出口となる施設側の光が見えてきた。
中谷の時計では午後2時31分…ここへ入ったのが、4分ぐらいだったはず……
普通だったらもう外に出ていてもおかしくない時間は立っている。
だがそれでもこんなに時間がかかるのは、出口に進めば進む程、恐怖心が煽られているからであった。