Fourthdayートンネルの中へ
「まぁ…一応の作戦はある。」
あるなら言ってくれよ…川端が言った。桜木も含めみんなが中谷の方へ身を乗り出して聞いた。
「作戦なんて言えるようなものじゃないんだけどね…」
と中谷が苦笑いした。
「とりあえず、教えてくれよ」
と急かすと中谷は続けた。
「1人一本ずつたいまつを渡す、奴らは火に当たると多少動きが遅くなり、多少溶ける」
桜木自も川端や中谷と逃げるときに経験していた。
「多少ってどのくらいなんだ?」
「わからない、だけどこの前襲われたときに皮膚が焦げて、ただれているゾンビがいた、倒せるわけじゃないみたいだ」
倒せるわけじゃない……
その一言にみんなは不安を覚えた。
かと言って、行かないとするのはできない。
食糧も底をつき、水も安全ではない、女子の真矢は腹を下していた。神谷の怪我は勿論、自分達の怪我すら何もできない。
選択肢なんてない
五人は服を巻きつけてある木に火をつけて、トンネルへと向かった。
咲さんが不安そうに自分達を見ていた。
咲さんも…自分達が戻らなきゃ死んでしまう。
…それだけは絶対にさせん!
桜木は自分に酔ってることには気付けていなかった。
「じゃあ行こうか」
外から見る限りトンネルの中にゾンビは見当たらない。
ただ真っ暗闇なので確認出来る範囲はごくわずかではある。
目視が聞くのは火を焚いてても1mぐらいが限界に思われた。
織田が不意にたいまつをトンネルに投げ込んだ。
「な、何をしてるんだ?」
「これで奥の方まで確認できるだろ…」
照れ臭そうにする織田に桜木は信頼感を感じた。
トンネルの中に足を踏み入れた。
桜木も小さな音を見逃さないように集中力を高めていった。
「とりあえず…織田の投げたたいまつの辺りまで移動しよう」
音をたてないようにそして素早く移動した。
だいたい10m弱は進めたみたいだが、まだまだ先は遠かった。
「とりあえず、たいまつを奥に投げ込みながら進もう」
中谷の指示に川端が投げようとした。
「待って、織田のたいまつを使ったほうがいい、たいまつの火の消耗を防ごう」
たいまつは太く長い木の先に服を巻いたあり、中に枯葉を詰め込んであるだけの簡単な作りなのですぐに消えてしまう。
中谷の言う通り、再び織田がたいまつを投げた。
たいまつの位置まで11mぐらいを再び歩く。
おりゃ、と織田がたいまつ投げた。
「うっ!!」
桜木もそれ以外のみんなも気付いた。たいまつの落下の途中に…何かいた。
みんなに緊張が走る。
「織田、私と一緒に奴を潰すぞ。」
藤谷さんが持ってきていた長い気の棒を織田に渡した。
「明かりのバックアップには…」
「俺が入ろう」
川端が藤谷さんと自分のたいまつを持った。
相手はまだ気付いてないのか?
桜木が耳を済ますが、こちらへ歩いてくる足音は聞こえなかった。
織田が藤谷が前で片膝を立てて、しゃかんでいる。
川端もその少し後ろでたいまつを持ち、いつでも動ける状況にあった。
桜木は相手が動かないことを中谷に伝え、中谷が織田達に丸を指で作った。