Fourthdayー桜木も施設へ
「桜木、いま大丈夫か?」
咲さんの後ろから中谷が現れた。
中谷は比較的軽症のようだ。
足や腕に擦り傷はあるが、骨折とかはしてなさそうだった。
「神谷の件だが、湖の水で洗うことにした。」
「そうか、まぁ特に構わないよ」
「あぁ、問題はそれじゃないんだ。」
えっ?と桜木が言った。
「奴の骨折はいま服や木で適当に添木してるが、なにぶん、出血が酷くて、いまはほぼ止まってるが少し動いただけでまた出てしまうと思う。」
あっ、いや…と中谷が続けた。
「もちろん桜木の怪我もヤバイとは思うが…」
「いや、古傷だし、大丈夫だよ」
とりあえず謙遜しといた。
「そんなわけで、今日の昼、施設に行きたいと思う。ただ…桜木はその怪我だし」
「だ、大丈夫だよ!いま何時?」
中谷が腕時計を見た。
中谷の腕時計は砂に塗れ、汚れていたが、衝撃、水、砂に強い某有名メーカーモデルだったので問題はなかった。
「いま10時だ。ご飯はそこを尽きてる。」
水は?桜木は聞いてしまったと思った。中谷が一番気にしてることだと思ったからだ。
「いまは…湖の水を使ってる。本当は嫌なんだけどな…」
「わり…じゃあ二時間の間、昼寝させてくれ。」
あぁ、わかった。中谷は桜木のベンチから去って行った。
「桜木君、気を付けてね…」
咲さんが心配そうな顔をして言った。
「うん…また寝たいから眠らしてもらってもいい?」
わかった、と咲さんは離れていった。