Fourthdayー藤谷の仁義
見ると左手の親指が真っ赤に腫れ上がっていた。
「大丈夫か?多分折れてはないと思うが…靭帯の方がヤバイかもな。」
痛みに耐え、少し動かす。
動く……みたいだな。
ふ~、と少し安心した。そういえば…もう朝なのか?
「あの…他のみんなは?」
「こちらも聞きたいことがある。」
目が怖ぇぇぇぇ!
「じゃあ、まずはお前の質問に答えよう。一応無事だ」
「一応無事…?」
「あぁ、死んだ者はいない。ただ…」
藤谷さんが公園の違うベンチを見た。桜木もそれに続いてみた。
「神谷は重傷だ。右腕は確実に折れているし、それ以外の怪我も酷い…それにそこに砂が付いていてな、止血したが菌が入ってるかもしれない。」
「湖の水を使えば?一応安全なんじゃ…」
「川端も同じことを言っていたが中谷が賛成しなくてな…反対でもないらしいが…」
と、言うことは…
「川端も中谷も無事なんだな!!」
あぁ、と藤谷さんが頷いた。
「良かった~!」
だが、と藤谷さんの表情が厳しくなった。
「石原が戻ってきてない」
へっ?…あっ…そういえば
「石原はどうした」
「それが…山の中で急にいなくなって…」
「見捨てたのか?」
「違う、俺たちもその直後に奴らに襲われたんだ。」
そうか、と藤谷は口を閉じた。
「桜木君!怪我は大丈夫?」
咲さん!と叫びたかったが、古傷が痛んだ為やめておいた。
「うん、なんとか。」
「そっか…良かった。心配してたんだ。神谷君も心配だけどね…」
「神谷はベンチにいるの?」
「うん、いまは真矢さんが付きっきりで看病してる。まだ寝てるし…」
そっか…と桜木は呟いた。
「桜木、いま大丈夫か?」
咲さんの後ろから中谷が現れた。