Therddayー人それぞれ
その日、桜木は夢を見た。
ただただ心地良いだけの空間で、自分はフワフワと心も体も浮いていた。
いままでの人生でこんな夢、桜木は見たことはなかった。
それほど不思議な夢だったのだ。
「痛って…」
布団が恋しい…文明ってのは凄いんだな…
桜木はある意味忙しい二日を過ごし、ようやく三日目で自分を取り戻した気がしていた。
「おっ…桜木、起きたか。」
声の主は川端だった。
川端は部活で朝練があったため、人との起床時間がずれていた。
朝7時に「勉強会しようぜ!」と電話してくる奴はなかなかいないだろう。
「腰痛いからストレッチしてたけど、桜木もやるか?」
スポーツバカが…
「あぁやらせてもらうよ。」
ストレッチとはいえ大したことはしない、柔軟運動の当たりさわりをかるーくやっただけで終わった。
「桜木、川端、おはよう…」
ストレッチが終わり、休んでいたころ中谷が起き出した。
三人とも事件が起きる前にジャージに着替えていたおかげで、着衣に不便はなかった。
「今日さ…飲料水を探したいんだけど…いいかな?」
あぁ、と軽く返したが、川端はノリノリのようだ。
確かに、探検と生命の危機…男なら燃えそうな展開ではある…か
残念なことに桜木にはそういうことで燃えるというのがあまりなかった。いわゆる草食系男子だったのだ。恋愛も奥手の奥手で、咲さんのことを小学4年生のときから好きだったが、会話すらしなかった。
「池の水が飲めたらいいのにな…」
つい呟いてしまった言葉に二人とも同意してくれた。
「なぁ…そもそも川の水は安全なのか?」
いつの間にか起きていた神谷が言った。
「だって、昨日の説明じゃ、まだ池のαってのが危ないってわかっただけじゃねえの?」
確かにな、と中谷が顎を撫で始めた。
「おぃ…織田はどこ行った?」
川端が大きな声で言った。辺りを見回しても、織田の姿が見当たらない。
「ま、まじかよ!」
中谷が言い終わる前に桜木は公園の遊具へと走り出した。
さ、咲さん!と声に出して走り出したため、川端はすぐに察して追いかけてきた。
「さ、咲さん!!!」
遊具を除くと女子は普通にお喋りしていた。
「さ、桜木くん?」
咲さんと真矢が困惑しながら言った。
よかった…胸を降ろすと今度は川端が焦り始めた。
「じゃ、じゃあ織田はどこいった!」
あとから中谷が追いついてきて言った。
「織田が行きそうな場所、思いつくか?公園のベンチには見たところいない…」
姿は見えない…公園はそんなに小さくも大きくはないが、見渡せばわかる範囲だった。
「くそ…どこ行ったんだ?」
川端声を張り上げて言った。
ようやくTherdday編がスタートです!
ここら辺から桜木がもう少し自分らしさを持ってきてくれると思うので、ご期待ください
m(_ _)m
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