Seconddayー炎とルール
「そういえば…」
と川端が再び口を開いた。
「俺らってどうやって生き延びたんだ?」
はっ?
「いや、食堂から逃げるとき、炎がドーンとなって助かったじゃん?」
思い出した、食堂室でゾンビに囲まれて中谷が何かして、炎が部屋中を包み、俺達がなんとか助かったやつだ。
「そういえば…あれってどうして助かったんだ?」
桜木も気になり中谷を見た。
「あれか…いやあれは正直…勘だったんだ。」
勘なのかよ!と川端が驚いた、桜木も信じてくれ!とか言われていただけに驚きを隠せなかった。
「結局、ゾンビになった奴らだって元は人間だったわけだし…どんな形であれタンパク質の塊なんだ。燃え切らなくても、皮膚は溶けるし、動きにも支障が出る。でも確証はなかった。」
中谷はどんなときも中谷なんだな…桜木は痛感した。
どんなときも考えてから動いてる。勘なんかではなかった…
この話を終えた後は、川端が脱出したときのスライディングの話などのしょうもない話で盛り上がっていた。
ゾンビに襲われ、出血多量で倒れた昨日の晩とは違い楽しい時間を過ごせた。友達と一緒にいられるというのがどれだけ楽しいかは、口では言い表せないだろう。
腕時計の時間が午後6時を指している頃には、陽は完全に沈んでいた。
「ねぇ…桜木君、お願いがあるんだけど…」
その言葉をかけてきたのは咲さんだった。
「ぶぇ、ば…咲さん?な、ど、どうしましたか?」
その姿を見た川端は噴き出し、中谷もそれを察し、にやにやし始めた。
「言い出したのは真矢さんなんだけど…」
「ちょ…まぁほら…」
咲さんに急に言われた真矢は口ごもってしまった。それを隣で見ていた藤谷さんが口を開いた。
「つまりだ、お前ら男達が私たちを襲わないか心配だから、なんとかして欲しい。」
ひっ、と真矢と咲さんがこぼした。川端はあまりのことにイスから滑り落ちた。藤谷さんもどうやら自分の言ったことのミスに気付いたらしい。
「な、そんな…いや…申し訳ない。」
藤谷さんが頬を赤らめ、目を下に逸らした。
「ま、まぁ…そういう事件が起きないとも言い切れない。」
何故か桜木は中谷と目があった。
疑ってやがる…
「女子たちは公園の…遊具で寝るというのはどうだ?夜、男子は近付いてはいけない。」
中谷が女子に提案した場所は公園の真ん中にある遊具でかまくらのようになっているとこのことだった。
このルールは他のみんなにも伝えられて、男子はお互いが監視出来る位置にいることが義務づけられた。
夜になって気付いたのは公園が意外に暗かったが、数本蛍光灯があることだった。
二日目の夜、なんだかんだで男子達はみんなで蛍光灯の下の地面、とはいえ織田は離れていたが寝ていた。
安心して…とは言えなかったが、林間学校に来たような感覚を少し感じられた。
みんなで、石原からもらった食糧を少しだけ食べて、眠りについた。
Secondday編終了しました!
これからThirdday編スタートです!
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