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八話 魔法


「クリム…………騎士って? 怒らないからお姉ちゃんに教えて。」


怖かった。軽くホラーだよ。後ろから僕の肩をガシッと掴み、耳元に話しかけないでくれ! 逃げようにも暴走トラックを前にした僕のように体が…………あれ?? これ、殺される?



ターニャ姐には、震えながら1時間かけて己の潔白を証明しました。誕生日の主役なのに! 本当に散々だった…………狐さんも青い顔して逃げてったよ…………



次の日、母上から緑色の表紙の古びた本をもらった。どうやら、魔道書と呼ばれるものらしい。昨日はターニャ姐がいたからな。今日から勉強開始だ! 母上は治癒魔道士として、人々の怪我や病を治したりしているのだが、そろそろ自分の後継者、弟子が欲しかったらしい。知識や技術を伝授し後世に残す。大切な使命とのこと。



僕は将来、冒険者だからな。治癒魔法は覚えといて損はないだろう。騎士になる気は毛頭ない。姫様には悪いけどね。諦めて欲しい。



早速、午前中に魔道書片手に個人レッスン。基本的に治癒魔法は、体の自然治癒力を上げ、大気の光子、通称ムーンとか神の雫とかいう、ミクロレベルのエネルギーを操り患部を治す。怪我の種類によって、扱う魔法も知識も全然違う。並行して文字のお勉強も開始だ! 順序がおかしくね? とか思ったが、まぁいいや。



いつも座敷わらしのように、気づいたらいる光ちゃんと共に、3人でみっちりお勉強したら、昼食を挟んで領内を母上と回る。ほとんど母上の処置と呪文を見たり聞いたりしてるだけだけどね。



魔法って凄いな…………日本にも言霊、声には何かしらの力があるって言われてたけど、それに大気に漂うムーンと光ちゃんの力が加わると、曲がって骨折した腕がでも直ぐに治るんだもんな。



言霊に力を加えたもの…………僕に取って、これが魔法の定義だ。



大々夕方には屋敷に戻る。いや〜……本当に母上は凄いや。素直に尊敬する。まさにこの世界版ナイチンゲールだ。



そうそう、実は父上にも誕生日プレゼントを貰った。武骨な鉄製の短剣だ。母上はいい顔してなかったが、僕は嬉しかった。素振りでもしてみよっかな。



剣道の授業を思い出す。両手で剣を正眼に構え、一歩踏み出すと同時に、気合いをいれて降り下ろした。



うーん、まだまだだな。薩摩隼人の示現流みたいに、ひたすら上段の降り下ろしを繰り返す。猿叫ってどうやるかな。とりあえず、叫んどく。



息を静かに、体の隅々まで巡らせて…………「は!!!」と、降り下ろしてみた。



今のはいい感じ。何だか楽しくなって、日が落ちるまで繰り返した。いい汗かいたぜ!



そのままお風呂に入って食事を、今日も肉!! やったね。夜はぐっすり眠った。



こんな調子で一週間が経った。いつものように、素振りを終えてお屋敷に入ろうとしたら、いつ帰ってきたのか、珍しく早く帰宅していた父上がじっとこっちを見ていた。



「おいクリム! お前は全く…………さすが俺の息子だ! 5歳の剣じゃないな、はっはっは。剣の才はターニャだけにかと思ったが、お前もか! はははっ、さすがは姫だな。見る目がある!」



まぁ、一応36だし…………何だかデジャブだ。母上のときとパターンというか、何か褒められかたが似てる。父上につられて笑う僕。ということは…………



「明日から早速剣の稽古だ!」



 似たもの夫婦め!

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