事故物件さまさま
私の友達のお姉さんの友達、仮にAさんと呼ぶの話だ。
Aさんには当時、お付き合いをしていた恋人がいた。
その恋人は暴言、暴力、浮気は当たり前のヒモ男でAさんは周囲に別れろと言われても彼は優しいから私が居なきゃ彼はダメだと言って、所謂デモデモダッテちゃんになっていて孤立しかけていた。
ある日、ヒモ彼氏が「良い物件を見つけた」と言って立地が良いのに家賃が格安のアパートへ引っ越した(当然、引っ越し代はAさん持ち)。
その引っ越しから暫くしてAさんはヒモ彼氏と別れた。
理由は。
「幽霊が出たら私を置いて一人で逃げやがった」
だそうだ。
お気づきの人は居るかもしれないが引っ越し先は事故物件と言われる場所だった。
虐待の末に亡くなった子供の幽霊が本当に出る物件として有名で心霊スポットとして紹介されていた時もあったとか。
話通りに子供の幽霊が出たのだが、ヒモ彼氏は幽霊は見るやいなや情けない声を上げながら出て行き、Aさんは一人取り残された。
一人残されたAさんは「あんな情けない男にどうして惚れてたんだろう」と正気を取り戻したというわけだ。
Aさんは別れたとは言え、男が戻ってくるかもしれないからという理由でそのアパートに住み続けている、あとヒモ彼氏と別れられた御礼も兼ねているようだ。
Aさんは毎日欠かさず子供の幽霊が出た辺りにお菓子をお供えしており、そのおかげかあれ以来、子供の幽霊を見ていないという。
住み心地も良いし、最初を遠巻きにしていたアパートの住人とも親しく過しているそうだ。
そんなAさんには最近になって素敵な出逢いがあった。
仕事から帰ってきたら自分の部屋の前に子猫が一匹ニャーニャと鳴いていて、一緒に暮らし始めたそうだ。
可愛らしい真っ黒な子猫。
まだ子猫は手のかかる時期らしく、仕事に行ってる間は猫好きで保護猫活動をしているアパートの大家さんに任せているらしい。
この件で大家さんと仲良くなったAさんは大家さんの知り合いの息子さんとお見合いすることに。
大家さん曰く、とても良い子だと言う事でお見合いするそうだ。
Aさんに幸あれだ。
で、Aさんの元彼だったヒモ男だが風の噂で実家に引き籠もってるんだとか。
――子供が笑ってる。
と何かに怯えながら。




