9月9日、火曜日
「2学期になったし、席替えしよう」
ロングホームルームで担任がいきなり言い出した。
……たぶん、前回のロングホームルームで言うのを忘れてたんだろう。
クジの列に並ぶと、いつの間にか一ノ瀬が後ろにいる。
「柊の隣か、前か、後ろがいいな」
「はいはい」
聞き流してクジを引く。
1番後ろ、窓から2列目。まあ、悪くない。
「あ、やった」
次に引いた一ノ瀬が歓声を上げた。
「柊の隣!」
見せられた番号は、1番後ろ、窓の横。
くじ、混ざってなかったんじゃないの?
「せんせー! 卒業まで席替えなしでお願いします!」
「3学期にするよ」
先生に軽くあしらわれて、それでも一ノ瀬は機嫌よく机を運んだ。
「あと91日! ……よし、机運ぶの手伝うわ」
「自分でやるって」
私の机も運ぶ。
「えー、あと来月頭に文化祭あるから、引き続き各係で準備を進めるように」
残りの時間は文化祭の準備に当てられる。
立ち上がろうとしたら、一ノ瀬が覗き込んできた。
近いから、椅子ごと後ずさる。
「柊は係、何やってんの?」
「小道具」
うちのクラスはお化け屋敷。私は脅かすための飾りや、お化けの被り物とかを作る係だ。
「俺、受付なんだよ。正直ヒマだからさ、小道具一緒にやっていい?」
「ダメ」
一ノ瀬が不貞腐れた顔になる。
「受付用の小道具いるから。受付係は必要なものの、依頼出して」
「……柊が作ってくれるなら、やる。すぐ確認してくる!」
あっという間に笑顔になって、一ノ瀬は他の受付係の子たちのところに走っていった。
単純なやつだ。
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