11月05日、水曜日
「柊、……あと、34日だから」
「ごめん、部活行くから」
カバンをお腹に抱えて、教室を飛び出した。
「あー……何やってんだろ」
一ノ瀬が何をしたいのかも、私がどうしたいのかも、全然わからない。
トボトボ園芸部の倉庫まで歩いてたら、後ろからメイサちゃんが駆け寄ってきた。
「柊ちゃん! おつかれ! 颯とケンカした?」
「……してないよ」
「そうなん? 柊ちゃんから避けられてるって、めちゃくちゃ落ち込んでたよ。颯になんかされた? あたしから言おうか?」
……無理。
ほんとーに、無理。
メイサちゃんが、どういうつもりで言ってるのか、わからない。
でも私には、「あたしの方が颯と仲いいし」「あたしの言うことなら、颯も聞くし」みたいなマウントにしか聞こえないんだ。
性格悪くて嫌になる。
「……ううん、いいや。メイサちゃんが一ノ瀬と仲良くしてあげればいいよ」
「え?」
「じゃあ、私行くから」
ポカンとしてるメイサちゃんを振りきって、部室に入った。
先にいた先輩が目を丸くしている。
「莉子ちゃん、大丈夫……?」
「……だめ、です」
「まじか、お姉さんの胸でお泣き……?」
「……すみません……」
歯を食いしばる。
背中を擦ってくれる先輩の手は、一ノ瀬の手よりずっと小さい。
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