10月31日、金曜日
「柊! トリックオアトリート!」
「うわ、びっくりした」
放課後、部活に行こうと立ち上がったら、隣の席の一ノ瀬に呼び止められた。
「お菓子ちょうだい。いたずらもさせて」
「ど、どっちかだよ。あ、お菓子ある。はい、飴」
「……ありがと」
一ノ瀬はふてくされた顔で飴を開けて食べてる。
飴の包みの裏を見て、目を丸くした。
「なんか書いてある」
「それね、占い。なんかいいこと書いてあった?」
「うん。好きな子と少しだけいいことがあるって」
「へえ……」
それ、一ノ瀬は誰を思い浮かべたの?
そんな嬉しそうに私の顔見ないでよ。
期待しちゃうじゃん。
「ね、柊も言ってよ。トリックオアトリート」
「……トリックオアトリート……」
「俺、お菓子持ってないんだ。だから、いたずら、してくれていいよ」
何それ。
いたずらって、何すればいいのさ。
「えー……、あ、座って」
「うん。……なに……?」
カバンに入っていたゴムで一ノ瀬の髪を左右に結ぶ。
できあがった髪をスマホで撮って送る。
「いたずらしたよ」
「もう一生結んどく」
「いや、部活で邪魔でしょ」
「やだ!! このままにする!! 39日後、覚悟しとけよ!」
一ノ瀬は顔を真っ赤にして教室を出て行ってしまった。
えー……なにそれ……。
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