9月6日、土曜日
今日は土曜だけど、花壇に水やりしに行く。
いつもより少し遅い時間に学校に行くと、校庭から運動部のかけ声が聞こえた。
たぶん、一ノ瀬もその中にいるんだろう。
園芸部の先輩と並んで、のんびりおしゃべりしながら花壇に水をやっていく。
秋冬向けに花の植え替えの相談もして、校舎の前で先輩と分かれる。
帰ろうとしたら足音がして、一瞬迷ったのに振り向いちゃった。
「柊! やった、会えた!」
「……はよ」
「土曜も来てんだ? あと94日な」
「いちいち言わなくていいって」
「明日は?」
「来ない」
「そっかー。じゃあニャインするから」
「いらないけど」
「返事いらないけど、既読はつけろよ。明日練習試合なんだ」
「へー」
校庭の方から、そろそろ集まるように先生が声を張っていた。
一ノ瀬は「はーい!」と返事をする。
「俺、戻んなきゃ」
頷く前に、一ノ瀬が私の手をつかんだ。
「え?」
手の甲に唇が押しつけられる。
「明日、勝ってくるから。また月曜日に」
一ノ瀬はニヤッと笑って走って行った。
置いてかれた私は、どうしたらいいの……?
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