10月27日、月曜日
いつもなら、朝の水やりの途中か、校舎に向かうときに一ノ瀬が声をかけてくるのに、今日はそれがなかった。
それどころか、朝のホームルームが始まっても隣の席は空のままだ。
「一ノ瀬は……あー、風邪で休みだ」
先生が出席を取りながらそういう。
風邪かあ。昨日は大丈夫そうだったのにな。
連絡とかしたほうがいいのかな。
……別に彼女とかじゃないし。
友達かどうかもよくわからない。
もやもや悩んでいるうちに放課後になった。
部活に行こうとカバンを持ち上げるのと同時にスマホが震える。
『あと43日! 柊は風邪引いてない?』
私じゃなくて自分の心配しなよ。
「大丈夫。風邪?」
『うん。ただの風邪。でも、熱が高くて寝てろってさ』
「じゃあ、寝てて。おやすみ」
『柊の顔見たら一瞬で元気になるんだけど』
……もしかして、写真送れって言ってる?
悩んでたら、結が横からのぞき込んできた。
「あ、一ノ瀬? すっかり正妻じゃん」
「そ、そんなんじゃないから!」
「莉子ち、写真撮ってあげる。ほら、笑って」
「む、無理……!」
結が撮った写真を送ると、すぐに既読がついた。
『かわいすぎて熱ぶり返した』
「じゃあ消して、ちゃんと寝て」
『やだ! でも本物に早く会いたいから寝る。おやすみ』
「おやすみ」
明日は、元気になってるといいね。
心配とかじゃなく。
普通に、クラスメイトとしてね!
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