9月5日、金曜日
朝、水やりを終えて昇降口に向かおうとしたら、前をサッカー部の男の子たちが歩いていた。
一ノ瀬とメイサちゃんも並んで歩いている。
……まあ、あれだけ仲良くしてるの見てたら、付き合ってるって噂にもなるよねえ。
なんて思ってたら、一ノ瀬がいきなり振り返って目が合っちゃった。
「柊! おはよ!」
「……はよ」
一ノ瀬はやたら大きいスポーツバッグを提げて、こっちに走ってきた。
やめてよ……サッカー部の人たちがめっちゃ見てるって!
「あと95日だけど、少しはなびいてきた?」
「全然。ていうか来なくていいし」
「やだよ、俺は柊と登校したいんだよ」
さっきまで普通にサッカー部の人たちと一緒にいたじゃん。
メイサちゃんとカップルみたいにしてたしさ。
「ん? 今メイサちゃんフリーなんでしょ? じゃあ一ノ瀬が慰めてあげればいいじゃん」
「柊?」
名案!
そう思った瞬間、一ノ瀬が低い声で私を呼んだ。
気づいたら真ん前にいて、真顔で私を見下ろしている。
「俺、お前に告白するっつってんだろ」
「……ごめん」
さすがに無神経だった。
「分かればいい」
歩き出す一ノ瀬の顔は、怒ってるっていうより、しょんぼりしてて。見てたら、ちょっと申し訳なくなった。
……ほんとに、ちょっとだけ。
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