10月10日、金曜日
部活も終わって、帰ろうとしたら、後ろから呼び止められた。
「柊、あと60日なんだけど……明日って空いてる?」
一ノ瀬が体操着姿で駆け寄ってくる。
「空いてない」
「スポーツ公園のサッカー場で地区大会の初戦があるから観に来てほしい」
「ヤダよ」
絶対にやっかまれるし、陰口叩かれる。
昨日はつい、ムカついて張り合っちゃったけど、もうそういうことはしたくない。
「頼むよ。昨日さ、柊が『勝って』って言ってくれたから……勝てたんだよ」
「一ノ瀬、明日頑張って。絶対に勝ってきて」
「棒読み……。明日、直接言ってほしいんだけど」
「直接って」
「メイサに言っておけば選手用の控室に入れてくれるからさ」
「……やだ。メイサちゃんに言ってもらえばいいじゃん。ほんとムカつく。私じゃなくたって、一ノ瀬を応援してくれる女の子はいっぱいいるんだから。そういう子たちにやっかまれるの、もううんざり」
「それは……ごめんだけどさ……、でも、俺は!」
自分でもなんでこんなに拒否してるのかは、わかんない。
でもムカついて仕方ないから、一ノ瀬を振りきって走りだす。
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