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9月3日、水曜日

 早朝、中庭の花壇に水をあげてたら、足音がした。

 振り向いて、後悔する。


「柊、おはよう」


「……おはよ」


 体操服姿の一ノ瀬が、手を振りながらやってくる。

 朝練が終わったところっぽい。


「柊も朝練?」


「練習じゃないけど、朝の部活」


「園芸部だろ? 夏休みも毎日水やりしてたよな」


「なんで知ってんの」


「俺も毎日部活してたし。さっきまでミニゲームしてたんだけどさ」


「へえ」


「もーちょっと興味持ってくんないかなあ。あ、あと97日ね」


「ウザ」


 「ひでえなー」なんて笑いながらも、一ノ瀬は私の隣から動かない。

 さっさと教室に行けばいいのに。


「颯ー! 荷物置きっぱなしー!」


 校庭のほうから女の子の声が聞こえた。

 マネージャーのメイサちゃんだ。

 背が高くて、目がぱっちりしてて、かわいくて、男の子たちによく囲まれてる子。

 女友達も多くて明るくて……つまり、私とは正反対の人気者。


「今、好きな子口説いてるとこだから、後にして!」


「そういうの、いいから」


 つい、冷たい言い方になった。

 仕方ない。

 だって、私とは住む世界が違う。

 一ノ瀬はムスッと唇を尖らせて私の顔を覗き込む。


「柊」


「なに」


「好きになって、俺のこと」


「だからっ!」


「また、教室でな」


 走っていく背中に、水をぶっかけてやりたかった。

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