9月17日、水曜日
部活が終わって、家に帰った途端にスマホが震えた。
『あと83日! 帰り、一緒に帰れなかったから、明日は待ってて!』
……ウザ。
別に約束とかしてないし。
どうしようかな。待たないって返していいかな。
でも、それでやり取りが続いちゃうのも、面倒なんだよね。
とりあえず部屋にスマホを置いて、晩ごはんを食べに行く。
仕事から帰ってきたお兄ちゃんが、苺大福を買ってきてくれて嬉しい。
気分がいいから、一ノ瀬にも返事しようかな。
でも、なんて?
「……んー、困ったなあ」
さんざん悩んで、結局「待たない」って返す。
送った途端に既読がついた。
『初めて返事くれた』
「そうだっけ?」
『そうだよ。嬉しい』
「こんなことで?」
『こんなことじゃない。電話していい?』
「だめ」
『声聞きたくなっちまった』
「明日会うでしょ」
『待てない』
一ノ瀬は、どんな顔でこんなことを言ってるんだろう。
私はムスッとした、ぜんぜんかわいくない顔でスマホを睨んでる。
「寝る。おやすみ」
『おやすみ、また明日』
そこは引くんだ。
もうちょい粘るかと思った。
……粘ってほしかったわけじゃ、ない。
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