9月16日、火曜日
午後のロングホームルームはひたすら文化祭の準備。
一ノ瀬は相変わらず私の横にいる。
「いや、下手くそすぎるでしょ!」
私と一ノ瀬は受付に置く小さいオブジェを作っていた。
私は紙粘土でお化けを作っていて、一ノ瀬は木の板でお墓を作ってる……はずなんだけど。
「木の板二枚くっつけるだけじゃん」
「なんかズレちまうんだよな……」
かまぼこ板みたいな板を二枚くっつけて厚み出して、黒く塗るはずなのに、そもそもぴったりくっついてない。
「どうしよう、これ……」
「あ、紙ヤスリあるよ」
近くにいた小道具の男の子が「はい」と紙ヤスリを差し出してくれる。
受け取ろうとしたら、一ノ瀬が先にひったくった。
「……これ、どうしたらいいんだ?」
一ノ瀬は唇を尖らせてて、男の子は顔を手で押さえて肩を震わせてる。
笑いすぎでしょ。
「はみ出たとこをヤスリで削って四角くして」
「わかった」
今度はさっきよりマシな形になった。
黒く塗って手を洗いに行く。
「一ノ瀬、血が出てる」
「あー、ヤスリでちょっと擦っちまった。これくらい、すぐ治るよ」
「部活の時、血が出てたら困るでしょ。絆創膏あるよ」
「……ありがと。宝物にするわ」
「いや、貼って」
バカなことを言う一ノ瀬の指に、絆創膏を貼る。
一ノ瀬は嬉しそうに、スマホで指の写真を撮っていた。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
この作品が面白かったら、☆を★に変えていただいたり
ブックマークやお気に入り登録してくださると、
作者がとても喜びますので、よろしくお願いいたします!




