9月11日、木曜日
朝、部活のあとに昇降口で一ノ瀬を待つ。
……昨日の苺大福のお礼、言わなきゃ。
すぐにガヤガヤ聞こえてきて、サッカー部が入ってくる。
「颯、元気出しなって」
「そんな落ち込む?」
「落ち込む。めちゃくちゃ落ち込む……」
「ウケる、慰めようかー?」
「いらねえ……」
一ノ瀬とメイサちゃんがふざけ合いながら入ってきた。
……あれで付き合ってないって、やっぱ無理あるよね。
邪魔したくないし、お礼はまた後でいいかな。
ずり落ちてたカバンを持ち直して、下駄箱の影から足を踏み出した。
「あっ、柊いた!! おはよう!!」
「うえ、一ノ瀬……」
一ノ瀬が勢いよく靴を履き替えて近寄ってくる。
メイサちゃんはクラスが違うからいなくなってて、同じクラスのサッカー部の人たちがニヤニヤこっち見てて、めっちゃ恥ずかしい!
「なんでここに? 部活は?」
「えっと、昨日の苺大福のお礼言おうと思って……」
「ここで待っててくれたの!? 嬉しい、教室まで一緒に行こう」
「いいけど……苺大福ありがと。おいしかった」
「毎日買ってくんね」
「いや、そんなにはいらないけどさ」
「あと89日だけど、そのあとも毎日買う」
「いいって」
何が楽しいのか、一ノ瀬はニコニコしながら隣を歩いている。
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