9月10日、水曜日
昼休み、結たちとお弁当を食べてたら苺大福が置かれた。
見上げると一ノ瀬が上から覗き込んでいる。
「……なに?」
「コンビニのクーポンでもらったからあげる。柊、苺大福好きでしょ?」
「好きだけどさ、なんで知ってるの?」
「好きだから知ってるんだよ。……あと90日!」
一ノ瀬はニヤッと笑って行ってしまった。
振り向くと友だちと一緒に教室から出て行く。
向かいに座っていた結がニヤーっと笑ってこっちを見ていた。
「莉子ち、めっちゃ愛されてんじゃん」
「そ、そんなんじゃないでしょ。そのうち飽きるよ」
「好物把握して、餌付けしてきてるのに?」
「餌付け言うなし!」
結だけじゃなくて、他の友だちまでニヤニヤしながらこっちを見ている。
なんか外堀を埋められてる気がする。
あれか、最初から狙ってたんだ。教室の真ん中で『100日経ったら……』なんて大声で言ってきたのも、そのため?
悔しいけど、しっかりハメられている。
「莉子ち、お礼は?」
「は?」
「せっかく、莉子ちが好きだからって買ってきてくれたのに、ありがとうも言わないの?」
「……あ、あとで言う」
押し付けられただけだけど、言わないのは……人としてアレだから、仕方なしだから!
……苺大福、美味しいし。
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