ーーここに来る前ーー
ケルト「ほんとにこんなとこに孤児院なんてあるんすか??めちゃくちゃ山なんですけど」
バク「確かに住所がこっちだと思ったんだがの〜…」
バクは悩みながらそう言った。
その瞬間
バ「あぶな!!」
ガシャンという音と共にバクがすごい高さまで飛ぶ。
バ「何だこれは、トラバサミ?野生動物でも出るのかここは。本当にあるのか?」
ケ「あ、あれじゃないですか?」
ケルトさんが指を刺したのは薄暗く壁に苔が生えている石で出来た廃墟のような場所であった。だが一応明かりはあるようで稼働しているのが分かる。
ケ「これ……ですか?」
ケルトさんは不安そうに入り口を指さす。自動ドアのように見えるがどうも自動で開きそうにない。誰か管理をしているんだろうか。
バ「とりあえず入るぞ」
そう言いケルトさんがゆっくりと自動ドアを開けて気配を消しながら入った。
ケ「なんか廃病院みたいですね。とりあえず耳すませてみますね」
ケルトさんは耳をすます。
ケ「あっちから声が聞こえます。何の話かまでは分かりませんが」
バ「では行ってみよう」
院内はとても静かで汚らしい。とても子供を置いておく所とは思えなかった。そうして進んで行くと声が段々と明らかになっていく。
子供A「やめて!やめてよ!」
子供B「何でやめなきゃいけないんだー?俺のが年上なんだからちゃんと言うこと聞けよ!」
子供C「うわ!こいつ泣いてる!殴られたくらいで泣くとか情けねーww」
2人とも唖然とした。ガラス張りの部屋があり、3人で一部屋を使ってる様子だが、子供1人を子供2人で殴ったら蹴ったりしているのだ。普通じゃないと確信したケルトさん。体調が優れない様子だが構わず先へ進む。
他にも部屋があったが、3人とも死んだ目をしている部屋、さっきと同じような部屋、自分を偉いと思っている奴同士が殴り合ってる部屋などめちゃくちゃだ。
バ「ケルト、大丈夫か?」
ケ「ええ。問題…ありません」
そう言いながら歩速が早くなってるのを感じる。歩いている間にある所に着く。
バ「ここは、、調理室か?」
着いた場所はおそらく子供達に出す料理を作る部屋。ケルトさんは食べ物とは思えない匂いに疑いが晴れない。調味料等が置いてある所に一つだけ異様な物があるから手に取る。
ケ「サルモネラ…菌?何でこんなのがあるんだ。料理になんて使えねーし使ったところで食中毒になるだけだろ?なのに何で…」
そんなこんなで迷っている時、バクがケルトさんに静かにするようジェスチャーをする。そしてすぐに隠れた。コツコツと音を立てて誰かが近づいて来てると思ったがそれは職員らしき人物達だった。
職員A「さぁて、今日も作りますかね。めんどくさいから適当に入れて野菜スープとかにしても良いかしらね?」
職員B「あらAさん、それもう何回もしてるじゃない。まぁ野菜入れてるし後はパンでも出しとけば栄養にはなるかしらね〜」
職員A「Bさんはよく考えてるお人ね〜」
そんな会話をしてそいつらはわははと笑っている。
職員B「あ、あの子達にはこれを入れないとね」
そう言い手に取ったのはさっき見ていたサルモネラ菌だった。不格好に散りばめられた野菜を煮ただけのスープを皿に分け、サルモネラ菌の粉末のようなものをぱっぱと入れる。入れている皿は分かりやすいように他の皿とは違った。それを入れた後食事を持っていく。その食事をどうするのか気になったケルトさんとバクはこっそり着いて行くことにした。
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