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ーー昔のお話ーー

 少年が『イリウス』という名を貰った次の日。イリウスの様子が少しおかしい。


「どうした?妙にソワソワしてるみたいだが」


「………ん」


 イリウスはお腹の様子を気にしているみたいだ。腹が減ったのか、痛いのか…朝飯もちゃんと食ってたしな〜。ケルトさんは色々な可能性を考えるが痛がってる様子も食べたがってる様子もない。何かよくわからないまま様子を見ておく。そうして時間が経った頃


「そろそろ行くぞ」


「へーい」


 そう、今日は人間界へとイリウスについて調べに行く日だ。


「俺はちょっと出かけてくるから、お前の世話はトラが見るからな。お利口さんにはしなくて良いぞ」


 イリウスは少し首を傾げるが、分かったように頷く。


「くれぐれも警戒を怠らないようにしてくださいね」


「分かっておる」


 バクはいつもの事かのようにトラさんからの心配を受け流す。そして2人は再び不思議な円を開き入って行った。





「よし、誰も居ないな」


 そう言いバクは人間界の地に足を付ける。バク達はイリウスの事情を探るべく情報のある場所へ向かうと計画していた。バクは市役所へ、ケルトさんは事件性を加味して警察署本部へ。


 (とりあえずは顔写真と名前を探らねばな……それにしても数が多いの…)


 バクは気配を完全に消した状態で書類を漁る。


(ん?何かおかしいような?気のせいか)


 役所の人は職場を見渡して何か思うもすぐに環境に支配される。


(お、これではないか?)


 大量の資料をペラペラしていた手が止まる


(なになに、本名は…『佐藤 優斗(ゆうと)』か。案外普通なんだの)


 名前が分かると大量にあった資料を元の場所に戻し、次の資料を探す。


(優斗優斗っと……なるほど。2020年に両親が事故により他界、当時8歳であったから今は10歳か。それで引き取る先も居なく孤児院行きと。その場所は……どこだここ?)


 バクは資料を眺め孤児院の住所に少し迷う。とりあえずここまで分かれば良いかと資料を元の場所へ戻す。そして屋上に出て電話をかける。


{ケルト、ケルト、聞こえるか?}


{ええ、聞こえてますよ}


{イリウスの本名だが、佐藤 優斗と言うらしい}


{優斗ですか、分かりました。調べておきます}


{それと、事件としてありえるのは2012年から2020年だ}


{分かりました}


 ケルトさんは電話を切るとバクよりもしなやかで慣れたように警察署本部に侵入する。そして過去の事件資料に手を取る。


(こんな量あるのか…めんどくせー)


 そう言いながら目が追いつかない程の速度で紙をめくる。


(とりあえず佐藤の記事をまとめたが……どれだろうな〜。まぁイリウスはまだ子供だし親に何かあったとしたら30代とかだろうな。だとしたら…これか)


 そうして手に取った資料はイリウスの両親について書かれた資料だった。


(うーむ。両親が交通事故で死亡か。ん?イリウスもその場に居たのか!?こりゃあショックだろうなー。犯人が不明?どういうことだ?車が勝手に移動したとかか?でも見る限りそうじゃなさそうだが…車も事故ったけど中に人が居なかったのか。変だな…)


 ケルトさんはイリウスに対する哀れみや時間に対する悩みを抱えたまま資料を戻さずに外に出た。


{ご主人様、とりあえず事件については調べられました。合流しましょう}


{ああ、分かった}


 そしてケルトさんとバクさんは一緒に来た所で合流した。2人とも分かった内容をあらかた説明し終わった所だ。


「それでどうする?この孤児院に行ってみるか?別に何も無いと思うが」


「世話をする身としては一応行っておきたいですかね」


「分かった。ならば行くか」


 そう言い2人は山へ向かった。





「そんな本見て面白いのか?」


「ん!ん!」


一方イリウス達は数学の本を読みながら仲良くやっている様子だ。

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