ーーはじまり3ーー
足の傷を癒す為にケルトさんと病院に行く事になった少年。痛みと恐怖に震えながらも抱っこされた状態で病院に向かった。まさか移動方法が屋根を飛び越えるとは思いもしなかった。
特に話しかけられる事も話しかける事もなく、そのまま病院に着いた。
「とりあえず薬は出しておきましたから、毎日忘れずに塗って下さいね」
医者は包帯の巻かれた少年の足を見ながらもう一度言う。
「事故にしてはこんな穴みたいな傷付きますかね?どんな事故なんですか?」
医者は明らかに疑っている表情でケルトさんに言う。それに対しケルトさんは落ち着いた表情で返す
「事故は事故だ。お前に話す必要はない。治療したなら帰るぞ」
「念の為足以外の部位も調べるのでまだ待っていて下さい」
医者は呆れたような表情で少年の身体に手をかざす。すると、驚いた表情でこう言う。
「この子、記憶が…」
「ん?何かあったのか?」
医者の反応にケルトさんが少し焦りながら反応する。そして医者がもう一度はっきりと言う
「記憶喪失を患っています。何の記憶かまでは分かりませんが」
「は?」
「?」
そう、少年は頭をぶつけた影響で記憶を失ってしまったのだ。ケルトさんは焦りながら少年の肩を掴む。
「お前、どこまで覚えてる?」
「………」
少年は少し考え、震え出した。何か恐怖が迫っているような顔をして。その顔を見て、ケルトさんは察したようにまぁ今は良いと言ってくれた。
「記憶喪失は治せるのか?」
「いえ…本人が思い出せるかどうか…我々ではどうする事も出来ません…」
ケルトさんは少し考えこう言った
「とりあえず他に問題はないな?帰るぞ」
医者は出来る事が無い様子でとりあえず帰すことを決めた。少年にあざや殴り後などがないことから虐待の可能性を切ったのだろう。このまま何もないまま抱っこされて家に着いた。
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