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ーー気持ちーー

「あー暇だー」


 僕が誘拐された事件の翌日。あんなことがあったのに…


「なあーイリウスー。まだ能力使えねーのかー?」


「まだ使えませんよ」


「早く修行つけてーよー」


 相変わらず修行が大好きな様子…僕は修行なんてしたくないですけどね…僕は心からそう思った。


「そんなことより昨日のこと、忘れておらぬだろうな?」


「当たり前じゃないっすか」


「爆発の原因はおそらく呪いだろうな。あの誘拐犯が死ぬ事で発動する呪いだ。イリウスが助かったから良かったが…」


「ほんとにケルトには苦労させられるな。俺がイリウスの側に居れば良かったと心から思うな」


「てめーなんかが側に居たら変なのが移ってまうぜ」


「どういう意味だ?」


「そのままだぜ」


 また2人とも喧嘩しようとしてるのです…今回もバクが抑えてくれるよね。なんて油断していたが。


「てめーはいつも・・・」


「お前こそ・・・」


 バク喧嘩止めないの?このままだとまずいんじゃ?僕は焦り始める。


「あー良いぜ分かった、今回こそ決着つけてやっからな」


「望む所だ、どっちが上か分からせてやる」


「ちょ、ちょっと待って下さい!2人とも喧嘩はやめて下さい!それにバクも止めてよ!」


「いつも止めているとこやつらのストレス発散方法がなくなるからの。たまに発散させるんだ」


「街がこわれちゃうんでしょ!?」


「そりゃあ心配いらねーぞ」


 ケルトさんがそう言うと、空間に手をかざしてホールを開く。ただ世界の移動に使うホールとちょっと違ってすぐそこに何か見える。


「おら、来てみろ」


 僕はそう言われて着いていくと、どこまでも続いているような草原に着いた。


「この世界は第三の世界(ハコニワ)つってな、俺ら神の憑き人が作れる世界だ」


「作れる?」


「あぁ、大体1人一つ持っててな。自分のハコニワは自由に装飾出来る。雪を降らせたり雨を降らせたり、森林にしたりサバンナにしたり色々な」


「そんなのがあるんですね!」


「そうだとも!だから雪を使う能力者だったりすると愛用されてるんだぜ、まぁ意味ないけどな」


「どういうことですか?」


「この世界はな、抜け出すのが超簡単なんだ。相手をこの世界に引き込めたとしても逃げられちまったら意味ねーだろ?だから能力者の中ではどれだけ分かりづらく引き込めるかが鍵になってんだ」


「万能なわけじゃないんですね!」


「この世界のもんは何壊しても治るから修行にめちゃくちゃ向いてんだ。充分万能だぜ?」


 また修行ですか…と言うか話してる間ずっと歩いてましたがトラさんとバクはどこに?気付くと最初来たところから大分離れていた。


「イリウス」


「うわぁ!バク、どこから…」


「行くぞ」


「え?どこにぃぃい?」


 バクが僕を持ち上げて凄い速度で飛ぶ。着いた場所はケルトさんから離れて、トラさんからも離れてちょっど真ん中くらいの所。トラさんはケルトさんとは逆の方向へ歩いていたんだろう。ケルトさん達がすごいちっちゃく見える。ケルトさん達がお互いに向かい合ってる。


「流石にあれに巻き込まれるとただじゃ済まぬからな。お主もよく見ておくと良い。あれが本当のケルトとトラだ」


「え?2人とも戦うの?家族なのに?何で!僕そんなの嫌だよ!」


「家族と言えどもあやつらは元々ライバルだ。戦って成長するものなのだよ」


 そんな…嫌だよ。家族なのにお互い歪みあってるなんて…みんなで幸せになりたいよ…僕に止めれるほどの力があれば…影響力があれば…2人が共通して1番嫌なことって…

 ケルトさんとトラさんが同タイミングで踏み込む。距離は軽く5キロはあったがそんな距離1秒もかからない。お互いにぶつかり合ったら怪我じゃ済まないかもしれない…


(そんなの…嫌だ!)


          ポワン


(え?今の音何?あれ?さっき見えてた山…あんな大きかったっけ?)


(なっ…)


(なっ…)


((何でイリウスがここにー!?))


(さっきご主人様が連れてったじゃねーか)


(というかまずい!イリウスの居る所は俺らの拳がぶつかり合う所!)


(今拳を止めてもこいつが風圧で圧死する!)


(ならば、こうするしか!)


 僕が何も理解出来ていない時、地面が割れる。ほとんど僕を中心にどんどん割れが広がっていく。僕も落ちそうって思ったけどバクが僕を持ち上げて浮いてくれている。ある程度割れが抑まったころ。


「何でイリウスがこんなとこに居るんですかご主人ー!」


「ケルトに続き主も子供を見ていられないのですか!」


「な、我に言われても困る!我だって確かに横に居たはずなのに気付いたらあんな所に…」


「えっとえっと、2人とも喧嘩はやめてほしいです!」


「「おめーは黙ってろ!」」


「うゆ〜…」


 それにしても何で急にあんな所に…僕だって分かんないのに!


「まさかだが、能力が開花したのではないか?」


「……まぁ確かに。可能性は無くはない…ですね」


「待て、イリウスの能力は歪みを操るのだろう?高速移動かテレポートかは知らんが関係ないじゃないか」


「それもそうだな…俺らが全く見えねーくらいだから、おそらくテレポートだが…それだと歪みは一切関係…」


「あると思うぞ。歪みの定義が不明だが、歪みとは、本来そうなっている物を別の形に見せる力がある。例えばそうだな、真っ直ぐな棒がくねくね曲がっている棒に見えたりな。今話したのはあくまでそのように見えると言う話だ。もし真っ直ぐな棒を曲げられる力だとしたら?それも概念問わず」


「そりゃあまぁ、汎用性が馬鹿みたいに高くなりますね。どんな事でも発想次第で出来ちまう能力…」


「ならば、テレポートも出来るんじゃないのか?」


「さっきから何の話してるんですか!僕能力の使い方なんて知りませんよ!」


「あー?まぁなんつーか、そうだな。とりあえず今回は引き分けにしておいてやる」


「それはこっちのセリフだ。次は殺す」


「だから喧嘩はやめてくださいって…」


 ケルトさんとトラさんの喧嘩はいつになったら収まるんだろ…でも今回は止められた。2人に取って嫌なことは僕を危ない目に遭わせることなのかな?

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