ーーはじまり2ーー
少年は困惑しながらも前を向くと、出口らしき光が見えた。人違いかも、この人は誰?僕はどうなるんだ?などと色々な思いが飛び交う最中、光に包まれた。
「よっと」
少年の手を引いた黒毛の犬の人は華麗な着地を見せた。一方少年は、着地が出来ずにガタッと言う音がして頭を強くぶつけて気絶してしまった。
着地のために下を向いていた犬の人が正面を向くと、驚きの光景があった。
「ケルト?…誰であるか?その者は…人間界のものではなかろうな?」
「え?ご主人様が何でここに??じゃあこいつは…」
「お前、人間界から人間を連れてくるとはどういうことだ!」
驚きで固まる者、困惑で現実を受け入れられない者、衝撃で怒っている者、その場は修羅場だった。 犬の人は『ケルト』と言うらしい。そんなこんなで少し経った後、場を落ち着かせる声が響く。
「ここ、どこですか?」
その場で騒いでいた3人が一斉に静まり、こっちを向いた。最初に口を開いたのはケルトさんだった。
「こいつ、殺しちゃった方が良いですかね?」
少し困り顔で凄いことを言っている。そこに怒り顔の主人が物申す。
「バカ!人間界に影響の及ぶことはやってはいけぬと何度も!…ん?」
少年のことをちらっと見た主人は口を止めて少年のことを見つめる。少年は自分の足に気付き、思い出したかのように痛みに悶えだした。
(確かに顔は似ているな……服や顔が泥だらけではないか。足には…どうやったらこんな傷が付くんだ?穴が開いてるように見えるが…)ブツブツ
「主?どうしました?」
「ん?いや、何でもない。それにしてもどうしたものか…とりあえずケルト。急いで病院に連れていけ。見たところ出血がすごそうだ」
「げっなんで俺が…てか傷なら俺の能りょk」
何かを言いかけたところで主がケルトさんの口を両手で塞ぐ。そして耳元で囁いている。
「この者には出来るだけこの世界の情報を掴ませず帰す。だから能力は使ってはいけぬ。後お主のせいでこうなったんだから文句言うな」コソコソ
多分こんなことを言っていたんだろう。それに対してケルトさんは嫌そうな顔をし頷いた。
少しでも面白いと思ったらいいね、感想、ブックマークをお願いします!