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ーー新たな姿ーー

「おー似合ってんじゃねーか!」


「全く勝手に連れ出すとは…」


 とても嬉しそうにしてるケルトさんとは裏腹に勝手に連れ出した事に怒っているバク。だが、イリウスの新しい姿と嬉しそうにしているイリウスを見ると自然と微笑みが溢れてくる。


「随分綺麗にしたものだな」


「だろ?俺は世話くらいちゃんと出来んだよてめーと違ってな」


 ケルトさんは勝ち誇りながらそう言う。


「だが、分かっているのか?イリウスも帰すと言うことを」


「…………」


 ケルトさんは苦い顔で下を向く。イリウスは何の話をしているか分からないが、また不穏な流れになるのは嫌だったので喧嘩を止めようと2人の間に入る。それを見たケルトさんはイリウスの頭を撫でて微笑む。


「んなこと……分かってる」


 時間が経つのも早くあっという間に夕食の時間。イリウスは相変わらず美味しそうにご飯を食べる。それを嬉しそうに眺めるケルトさんも相変わらずだ。


「さっきトラも言っていたがな、あんまり愛着を沸かせすぎない方が良い。別れが辛くなるぞ」


 ケルトさんは黙る。少し考えた後口を開く。


「分かってますよ。でも、少しの間だけでも俺はこいつに色々してあげたいんですよ」


 ケルトさんはやはり苦い顔をして言う。


(やはりケルトに任せたのは失敗だったか?だがまぁ、ケルトなら平気だろう)


 夕食の時間も終わり、皿洗いやお風呂、洗濯を終わらせたケルトさんとトラさん。2人は家事を分担してやっているみたいだ。そのため、寝る時間も必然的に遅くなる。22時、ケルトさんはイリウスは寝ているかとイリウスの部屋の扉を開ける。


「ん?」


 イリウスは椅子に座って本を読んでいた。机いっぱいに本を広げて文字の勉強をしていたみたいだ。


「こんな時間まで起きてちゃダメだろ?勉強は偉い事だがちゃんと寝ろ」


「ん!」


 イリウスは少し眠そうに返事をしてベッドに着く。そこでケルトさんは提案する。


「一緒に寝ねーか?」


 イリウスは少し驚いたが、すぐ笑顔になって喜ぶ。だがイリウスのベッドでは身体の大きさ的に明らかに入らない。なのでケルトさんは寝っ転がった状態のイリウスを抱っこして自室に連れて行く。ケルトさん用のベッドでも横に並ぶと狭いので必然的にケルトさんの上で寝ることになった。


「なぁ、イリウス」


 ケルトさんは優しい声で、元気の無い声で聞く。


「お前はな、人間界から来たんだぜ。この世界とは別の世界だ。そんでよ、人間界の人間はこっちの世界に来ちゃ行けねーんだぜ。だからよぉ、俺よぉ……」


 ケルトさんは長々と説明して少しためる。


「お前を帰さなきゃいけねーんだ。お別れしなきゃいけねーんだよ…」


 イリウスの眠気は覚めた。自分が人間界に行くことよりケルトさんと離れてしまう事が寂しくて何も言えなかった。何も考えられなかった。でも、悲しそうにしているケルトさんを見て、イリウスは全力の笑顔でケルトさんを元気付ける。


「お前は…寂しくないのか?」


 ケルトさんがそう言うとイリウスは首を横に振る。仕方がない事だと自分に言い聞かせる。そうして胸騒ぎが止まらない状態で眠りにつく。

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