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ーー友達ーー

「お前ら、いい加減にしろ」


 メメは明らかに怒っている。そんなメメの怒りも嘲笑われ大人達は歩みを止めない。


「お前ら人間はいつもそうだ…妖怪たちの住処を奪い、家族を奪い、権利だって奪った…そのくせにこれ以上何を望んでるんだ!」


「いや望むとかないし。ただのストレス発散だよス、ト、レ、ス、発、散。お前ら妖怪なんてそんなんでも使われてるだけマシだろ?今時妖怪を良く思ってるやつなんて居ねーんだよwあのガキも考えが180度変わるだろうなw」


 メメの中で何かが切れた。その途端、メメから黒い気配が出だし立ち上がる。そうして恨みに満ちた目で人間達を見る。イリウスもその気配に背筋が凍る。だが、メメはイリウスに一瞬目を向けた時いつもの目に戻りこう言った。


「ごめんな、メイゴ…」


 そう言った後、メメは黒い霧に包まれ姿が変わっていく。大きく恐ろしく、まるで本来の妖怪のあるべき姿のように。

 人間達はその姿を見て恐れおののき人の多い通路に走り出す。だがメメはそんな事を許すはずがない。人間達の逃げ道である通路へ大きな手を使い予測攻撃する。幸い当たらなかったが騒ぎに気付いた人達が集まり始める。


「お、おい!こんなの聞いてないぞ!」


「お、俺だってこんなことになるなんて……お、おい、ガキ!お前がなんとかしろ!あいつのダチなんだろ??」


 イリウスは急な出来事が多すぎて固まってしまっている。そんな時、メメに見つかってしまった。近づいてくるメメにイリウスは手を差し伸べる。


(きっと大丈夫、元に戻るよ。平気だよ。絶対…多分…平気…だよね?)


 泣きそうになりながらも頑張って作った笑顔で手を伸ばす。残念ながら良い答えは得られない。メメは腕を横に広げ勢い良くイリウスに当てようとする。


(メメ…)


 メメの攻撃は鋭い風を起こし最後まで振り切った。だがイリウスはどこにも飛んでいなかった。


「大丈夫か!イリウス!」


ケルトさんがイリウスを抱えながらそう言う。イリウスも自分に何が起きたか分からなかった。まるで風にでもなったかのような早さで避けた事が記憶にある。


「妖怪か、人も多いし早めに殺さなきゃな」


 その言葉を聞いたイリウスはケルトさんの服を掴み止める。


「わりーな。今は聞いてられる時間はねーんだ」


 メメはそんな話をしている間に近づき腕を大きく振る準備をしていた。ケルトさんがイリウスから目を離し前を向いた時、メメの大きな腕が目の前まで迫る。ケルトさんに当たったと思った時、メメの腕が散っていた。まるで人の体とは違う腕でぶよぶよした塊のように散っている。その後は一瞬だった。ケルトさんが高く飛び、メメの中心を思い切り殴る。その1発でメメの体には大きな穴が空いた。

 メメはそんな姿でイリウスに目を合わせ最後に言う。


「メイゴォォォォォォォ」


 そしてメメは爆散してしまった。辺に黒いぷよぷよが飛び散り、原型なんて跡形も残っていなかった。


「そんなに震えてどうした?怖かったか?わりーな、目離しちまって。今度から気をつけるから」


 イリウスは何も言えなかったし、現実を受け入れられなくて泣くことも出来なかった。


 ケルトさんに抱っこされて家に帰り、昼食の時間になった。


「イリウス、食わねーのか?やっぱあれだよな…」


「何かあったのか?」


「妖怪が化け物になっちゃいましてね〜それに巻き込まれてたみたいなんですよ。ほら、ちょっと傷がありますし」


 そう言い、イリウスの右頬を見る。確かに赤くなっている。でもこれは違う。メメにやられた訳じゃない。イリウスはそう言いたかった。


「ん………んぅ………」


 それだけ言ってイリウスは大泣きしてしまった。ケルトさん達はもちろん困惑して焦っている。


「え、なんだなんだ?何で泣くんだ??そ、そんなに怖かったのか?それとも痛いのか?分かった分かった今すぐ治してやるから泣くなよ〜」


 でもイリウスは首を横に振る。バクはその泣き様に今までと違うものを感じ一つ聞く。


「もしや、その妖怪と縁があった…のか?」


 イリウスは首を縦に振る。


「え、おま、マジか…」


 ケルトさんもバクも何も言えず固まっている。


「つまりお前はイリウスのダチを殺したって事だな。ははは、この畜生がw」


「明らかに笑ってる場合じゃねーだろ頭おかしいのか」


 ケルトさんとトラさんがいつものように喧嘩しようとしている所を無視してバクが話す。


「イリウス…その…ケルトは許してやってくれ。妖怪と言うのはな、あの姿になってしまったらもう戻らない。敵も味方も関係なくただひたすらに恨みのままに動くだけの生き物になってしまう。そうなると街を壊したり、人を殺したり…ああなってしまった以上止めるには、それしか…ないんだ」


 イリウスはやはり納得いかないがケルトさんが悪いみたいになるのは嫌だったので何とか泣き止む。でも、あの瞬間…あの光景だけは、決して忘れることは無いだろう。

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