転生
「んん...」
目を覚ますと見慣れない天井があった。
「おわっ!」
俺は飛び起きた。違和感がある。知らない部屋だ。いい匂いがする。階段がある。そもそもここはどこだ?。
窓がある俺は恐る恐るカーテンを開けた。
「異世界」
この言葉が良く似合う場所だなと思った。
中世風の建物に、ゲームでよく見る屋台がならんでいる。しかもめちゃめちゃ美味しそうなものが並んでいる。
その時だった。
「あ!やっと起きた!おはようございますゆうとさん!」
美少女がいた。
「うわっ!...え?なんで、名前...」
「隊長から聞きました!多次元のお客さんが来てるって、あなたのことですよね?」
多次元?なんの事だ?理解が追いつかない。もう一度窓をみたその時、反射した窓ガラスを見て俺は全てに合点が行った。
「それにしてもお兄さん、イケメンですね!シュッとしてて、隊長にはかなわないけどイケメンです!」
俺は、転生した。
―――
「俺がイケメンって?はは、照れるなあ。」
「とてもイケメンですよ!隊長程じゃないですけどね」
元気な子だ、歳は同じくらいか?お!なんだその格好は!谷間が丸見えじゃないか!けしからんなあ!
「そうだ!隊長が会いたがってましたよ!これから隊長の所に案内するので用意が出来たら呼んでください!」
「分かった、ちょっとまっててくれ。」
俺は落ち着いて返事をした、が心はいたって落ち着いてない。
異世界転移なんて本当にあるのか?大発見ではないか?そして俺はかなりイケメンになったのでは無いか?てかあの子は誰なんだ?ここはどこだ?
様々な疑問を抱えながら俺はあの子についていった。
「案内ありがとう。君はなんていう名前なんだい?」
我ながら聞き方がきもいな。
「そうだった、自己紹介がまだでしたね...私はトヨです!ムニエル騎士隊で騎馬班長をしてます!よろしくお願いします!」
「よろしくね。そしてここはどこなんだ?」
「ここは食の都、ムニエルです!」
なんか異世界っぽいな。
「それにしても人がいっぱいだね。いつもこんな感じなの?」
「そうですよ!ムニエルは栄えてるのです!」
辺りを見ると人だらけだ。みんな独特な格好をしているし、ケモ耳がある人もいる。かわいいなあ。
「あ!見えてきましたよ、ここが私たちムニエル騎士隊の本拠地です!」
立派な建物だ、西洋風の塔みたいだ。
「さあ、入って入ってー!」
言われるがまま入ってみると、中は意外とこじんまりしていた。荷物がところどころ置かれていて階段もあるが、思ったより広くはなかった。目の前に背の高い男がいた。
「君がゆうとくんかい?初めまして僕はムニエル騎士隊隊長のビアンコだ。よろしく頼むよ。」
この人が隊長。ほんとにイケメンだ。何よりこの人の声色には妙な説得力というかなにかがある。吹き抜けの通路から声がした。
「連れてきた子かい?コーヒーでもだしてやりなよ。」
きれいなお姉さんだ。胸がでかいな。ん?連れてきたってなんだ?
「君が自己紹介を済ませたらな。」
「おっと、失礼したわ。私はモカ。ここの化学班の班長よ。化学のことはなんでも聞いてね!」
エロいの一言に尽きる体だ。太ももがむちむちしてる。
「おいおまえ、何モカさんをエロい目で見てんだよ!」
「うおっ、いって!」
いきなり後ろから蹴りを入れられた。なんだコイツは。
「コラ!お客さんになんてことをするんだ。大丈夫かい、ゆうとくん?」
ビアンコさん優しい...
「まあなんとか...」
「なに!隊長のお客さんだったのか?!すまなかった!自己紹介をさせてくれ。俺はジャックだ。特攻班の班長をしている。さっきの無礼を許してくれ。」
おお、礼儀正しいやつだ。気に入ったぞ。いやいや、そんなことより気になっていたことがある。
「ビアンコさん、呼んだってどういうことだ?」
「おお、いい質問だねえ。答えは簡単。モカがそちらの次元に干渉して君を操ったんだ。」
「え?どういうことですか?」
俺は聞き返すことしか出来なかった。