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○○王子と婚約者の私

たまご王子と婚約者の私

掲載日:2023/12/31

応募の都合上、本文は千文字で終わりです。

あと……フレンズではありません。

 私の婚約者は王子様。

 王位継承順位は、そこそこ低い。

 ご公務とかも、本当にそこそこ。

 殿下はいつも暇そうで、かと言って遊び歩くような人でもなく。

 研究室に籠もって、怪しげな研究三昧だ。


「でんかーっ! 今日も婚約者の私が様子を見に来ましたよーっ!」


 研究室には誰もいなかった。

 私の馬鹿みたいな大声だけがむなしく響いた。


「でんかーっ!」


 もう一度呼び掛けてみた。

 やっぱり誰もいない。


「おかしいなぁ……」


 ここには殿下と私以外は入ってはいけない決まりだ。

 だけど、知らずに入る人がいるかも知れないし、色々とおかしな物も置いてある。

 問題が起きないように、いつもは鍵を掛けている。


「んんっ……?」


 部屋の中をよく見ると、その『おかしな物』の中に……見慣れない物が紛れていた。


「卵……?」


 大小様々な卵だ。

 ケースに入っていたり、緩衝材に包まれていたり。


「まさか殿下……」


 卵になっちゃった!?

 人間から一気に退化して、生まれる前の原初の状態にまで戻ってしまったのだろうか。

 もちろん、普通に考えれば、そんなわけはない。

 だけど、うちの殿下は……なんでもありなのだ。

 へんてこな魔法で卵に変身する可能性も……なくはない。


「殿下……この中に……」


 色も形も全部違う。

 殿下が交ざっていたとして、私は見分けられるだろうか。


「白い卵……」


 白は殿下の白衣の色だ。

 研究者っぽく見えるので、好んで羽織る。


「小さい卵……」


 人の頭より大きな卵もあるけど、なんだか殿下らしくない。

 殿下はどちらかと言うと小柄だから。


「赤い、青い、まだら模様、細長い……」


 私は殿下のことをどれだけ知っているのだろう。

 人間には多面性がある。

 遊び歩くような人ではないというのも、私が勝手にそう思っているだけだ。


「……卵。どれでも……」


 あんなことを言っていた。こんなことが好きだった。

 今ちょっと思い出したようなことで決め付けて、らしいとか、らしくないとか。

 卵の種類は色々で、中の様子は見えなくて。

 私は大声で呼び掛けて。

 殻の中からはみ出る、見えないはずの中身。

 いつか殻が割れて、私の知らない殿下が生まれてくる。


「ああ、婚約者殿、来ていたか」


 後ろから声がした。

 振り向くと、私の知っている殿下だった。


「その標本、置き場所がなくて預かったんだ。面白いだろう」


 正直ほっとした。

 殿下は卵になってはいなかった。

 だけど施錠しない不用心さには腹が立ったので。


「殿下!」


 私の卵の殻が割れて、それは殿下の知らない私。

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